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スタッフブログ―スタッフの日々、感じたことを発信します。

スタッフブログ|ペットの訪問火葬のプレシャスコーポレーション

「そしてリングへ」遺骨のメモリアルアクセサリーに込められた ある世界チャンピオンの魂 5

Tさん家族が愛猫の大枝公園ちゃんのお見送りとメモリアルアクセサリーを作成された翌年

 

次男さんのプロテストの日がやってきました。

 

やはりカリスマボクサーとして絶大な人気のあったTさんの息子さんであることで、メディアでも取り上げており、私もテレビでその様子を見守りました。

 

結果は見事合格。

 

私はミーハーなファンのようにテレビに向って拍手をしたほど、自分のことのように嬉しかったのを覚えています。

 

プロになった次男君は、同年、プロデビュー戦を得意の左フックでTKOし、見事勝利で飾ると、その後、負けなしでデビュー以来5連勝したのです。

 

試合には必ずTさん家族はリングサイドで応援に駆け付けられるのですが、Tさんは鋭い視線でただ、黙って試合を見つめ、奥さんは試合が始まるまえから泣きだしそうな表情で見守っておられます。

 

そして試合が終わると、Tさんは、まだまだダメだと言わんばかりに表情を強張らさせたまま厳しいコメントを残し、奥さんは次男君が勝っても、まるで負けたかと思うくらい悲しそうに泣かれるのです。

 

父と母の表現の違いはあるものの、どちらも愛情から出ることであるのは言うまでもないのですが、つくづくボクサーの親というのは嬉しさより、つらさのほうが多いのでありましょう。

 

そんな父と母の様子もメディアで流されるので、私も同じような気持ちでハラハラしたり泣きそうになったりして次男君の試合は毎試合、見るようになりました。

 

そして向かえたプロデビュー6戦目。

 

この試合、次男君は初めてダウンを奪われたのです。

 

テレビの前の私も思わず「あああああ」と叫んでしまったのですが、次男君は立ち上がり試合が再開されました。

 

私も拳を握って「大丈夫・・・大丈夫」と自分にも言い聞かせるようにして応援しました。

 

幸いダメージはそれほどなかったようで、次男さんは次のラウンド、少しずつ挽回するように連打で相手を追い込んでいき、またしても得意の左フックでダウンを奪い返したのです。

 

今度は「しゃああああああああ」と叫んだ私はガッツポーズをつくって飛びあがりました。

 

しかし、相手も立ち上がり、その後、試合は5ラウンドまで進みました。

 

そして向かえた5ラウンド、次男君は一気にラッシュに出て、相手は完全に動きが止まり、そこでレフリーが試合を止めました。

 

5ラウンドTKO勝ち。

 

これで次男君はデビュー以来6連勝!

 

試合を見終わった後の私の拳は汗でびっしょりになっていました。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

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「気合いと魂」遺骨のメモリアルアクセサリーに込められた ある世界チャンピオンの魂 4

Tさん家族が帰られて、すぐ職人さんはメモリアルアクセサリーの作成に入りました。

 

当時(三年前)、メモリアルアクセサリーも、全国から依頼が入る今とは違い、そこまで予定が詰まっていたわけでもなかったので、すぐに作業に入ることができたたのです。

 

約2時間後、大枝公園ちゃんのお骨の入ったメモリアルアクセサリーが三つ出来上がりました。

 

次男さんのメモリアルブレスのメインストーンには、次男さんの希望通り、左前足の拳の部分のお骨が融合されており、私はすぐにTさんの奥さんに「完成しました」と電話を入れたのです。

 

Tさんの家は会館から近いこともあり、すぐに取りに来られました。

 

ご家族は、完成したメモリアルブレスを手にとられ満足そうに微笑んでくださったのですが、次男さんは、すぐにブレスをケースから出し、その場で左手首にはめられた後、力強くギュっと拳を握られたのです。

 

その光景を隣で見ていた長男さんは「これで合格間違いなしやな」と言われたのですが、長男さんが口にされた「合格」とはボクシングのプロテストのことでありました。

 

次男さんはこのとき、まだプロではなく、プロテスト合格に向け、トレーニングに励んでいた時期でもあったのです。

 

兄にそう発破をかけられた次男さんは、少し照れたような表情をされたのですが、私は、次男さんのメモリアルブレスのメインストーンの中に浮かぶ大枝公園ちゃんのお骨を見て、Tさんがお骨上げのときに言われた言葉を思い出したいました。

 

Tさんはメモリアルアクセサリーに使うお骨を見て、「ただ単に骨を入れるだけやったらあかん、気合いも入れとかんと」と言って自分の手にとってギュっと握りしめられたのです。

 

口調はおどけた感じだったのですが、その時のTさんの眼光は鋭く、それはTさんが試合のとき、リングで見せる眼光そのものでありました。

 

そして、そのTさんの気合いと魂が込められた大枝公園ちゃんのお骨は職人さんの手によってガラス石材に融合され、パワーストーンと組んだブレスとなり、次男さんの左手首にはめられたのです。

 

少し離れた場所でそんな次男さんを見ておられたTさんの奥さん、つまり次男さんのお母さんは、なんともいえない複雑な表情をされていたのが印象的でありました。

 

Tさんの奥さんといえば、Tさんの試合のときリングサイドで見守っている姿が印象的であり、どんな壮絶な試合であっても、最後まで目を逸らさず見届けるような女性であります。

 

そんな奥さんの姿を私もテレビで幾度となく見た記憶があるのですが、いつも凛としておられ「気丈な人だな・・・」と、感心していました。

 

ところが、奥さんのその時の表情は、同じ人とは思えないほど、ある意味、不安気であり、それはボクサーの妻ではなく母親の顔であったのです。

 

やはり、妻と母の立場では、その心境は大きく違うんでありましょう。

 

ボクサーの妻だからわかるボクシングという過酷なスポーツのつらさや怖さ。

 

その世界に息子さんが入っていかれることの心配と不安は計り知れないほど、大きなものであるのは間違いありません。

 

次男さんは誰に言われたわけでもなく、自分でその世界に入ることを決められ、この時にはすでに大きな夢と目標を描いておられたのです。

 

だから、母はただ見守ることしかできないのであります。

 

それは我々が想像する以上につらいことなのかも知れないと、私は奥さんの表情を見て、そう感じたのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

 

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「利き腕」遺骨のメモリアルアクセサリーに込められた ある世界チャンピオンの魂 3

ご火葬が終わり、Tさん家族は収骨場に入られました。

 

火葬の際、私がTさんとお話をしてるとき、他の家族は何やら相談するようにされていたのですが、どうやらTさん以外の家族は遺骨のメモリアルグッズを作成することを決めらたようでありました。

 

大枝公園ちゃんのお骨を見られ、Tさんはじめ、ご家族は一同に「うわ・・・」と声をもらされたのですが、その声は驚きと言うより、安堵の気持ちから出る声のように私には聞こえたのです。

 

「どうしよっかな」

 

次男さんが独り言のように、そう言われたとき、長男さんがすかさず「お前は左やねんから左手にしろや」と言われたのです。

 

どうやら次男さんは遺骨のメモリアルアクセサリーを作成するにあたり、大枝公園ちゃんのお骨をガラス石材に融合させるのは、どの部位が良いか迷っておられたようでありました。

 

「うん。そうや。左手にしよ」

 

次男さんはそう返事をし、私に「左手の骨ってどれですか?」と訊ねられたのです。

 

猫の左手。つまりは左前足になるのですが、私はその部位を箸で指差すようにして「ここになります」と次男さんに見せました。

 

長男さんが言われた「お前は左やねんから左手にしろや」という言葉の意味は、どうやら次男さんの利き腕のことであり、次男さんは左利きで得意パンチが左ストレートであることを、私は長男さんから教えてもらったのです。

 

私はこの時、長男さんがボクシングをされてたことは知っていたのですが、次男さんまでも、ボクシングをされているのは知らなかったので、率直に「次男さんもボクシングされてるんですか?」と訊ねると、次男さんは少し照れたように「はい」と返事をされました。

 

そのときようやくTさんが自分以外の家族が遺骨でメモリアルアクセサリーを作成されることを奥さんから聞かされたようで「ふ~ん。そんなんあんの。へ~~」と感心されたように言われたのですが、その言葉とは裏腹に、表情には無関心さが漂っていました。

 

奥さんは「私ら作るけど、あんたどうする?」とTさんにメモリアルアクセサリーの作成の意向を訊ねられたのですが、Tさんは即答で「俺はエエわ」と苦笑いを浮かべながらお断りされたのです。

 

Tさんは私と息子さんたちに歩み寄るようにしながら「そんで〇〇〇(次男さんの名前)は左手にしたんか」と言われたので、私は「そうですね、人間でいう拳の部分の遺骨で作成させてもらいますね」と返事をすると、Tさんは「拳?拳って猫にもありますの?」と笑って言われました。

 

「まあ、拳というか、手の甲から指の関節のこの辺りです」と私が自分の拳のその部分を指しながら言うと、Tさんは「まあ猫パンチいうくらいやからあるんやろな」と言った後「でも、猫パンチやったらあかんやん」と表情を崩されたのです。

 

このときは、私も含めご家族も一同に笑ってしまったのですが、次男さんだけは「エエねん」と反論するように言われました。

 

「まあ、こんなんで試合に勝てたら苦労せんけど、ないよりはマシやろ」とTさん、私にだけ聞こえるように言って、優しい眼差しで息子さん達を眺めておられました。

 

その後、Tさんを除く奥さんと二人の息子さんが、アクセサリー用のお骨を選ばれた後、家族全員で収骨をされました。

 

収骨後、奥さん、長男さん、次男さんの3つのメモリアルアクセサリーの作成時間は、約2時間程かかると伝えたところ、ご家族は一度、自宅に戻られることになり「お世話なりました」と丁寧に頭を下げて帰っていかれたのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

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「重い言葉」遺骨のメモリアルアクセサリーに込められた ある世界チャンピオンの魂 2

火葬の待ち時間のとき、Tさん家族は比較的、リラックスされた様子で時に談笑も交えながら過ごされていました。

 

話題は大枝公園ちゃんの生前のお話から爆笑エピソードに話題に変わり、私も話の輪に入れていただいたのです。

 

特に長男さんと次男さんは、父であるTさんの影響もあり、共にボクシングをされていることもあって、いつしか話題はボクシングの話になり真剣な表情で話をされていたが印象的でありました。

 

この時、次男さんはプロデビューを目指し、ハードなトレーニングの日々を送っておられた時期で、ボクサーの先輩でもある父や兄の話を聞く目は真剣そのものでありました。

 

Tさん家族は、よく家族揃ってテレビにも出ておられたのですが、テレビで見た通り、仲が良く、それともう一つ、とくに二人の息子さんは、私と話すとき、常に敬語で、とても礼儀正しい印象を受けました。

 

そんなとき、Tさんが家族から一人離れ、プレシャス会館で葬儀をされた飼い主さんが先立ったペットにあてた手紙が展示されてある掲示板のほうに歩いていかれたのです。

 

Tさんは無言で、手紙を一枚一枚、読んでおられたのですが、その後ろ姿はどこか寂しげでありました。

 

気になった私はTさんの邪魔にならないように、少し後ろで同じように掲示板に目をやりました。

 

一通り、手紙を読み終えたTさんは、斜め後ろに居た、私に気付くと、小さく会釈するようにうなずかれ、「ペットの葬式ってどんなんするんやろ~思ってたんですけど、ほんま人間と同じなんですね・・・」と声をかけてくださったのです。

 

「そうですね。時代的にペットは家族の一員という位置付けになりましたんで、私共のような仕事も必要な時代になったのかも知れません」

 

私はそう答えました。

 

「大変な仕事やね」

 

Tさんは労うように優しげな表情で、そう言ってくださったので、私は「いえいえ。」と恐縮して返事した後「Tさんの方こそ大変な仕事じゃないですか」と言いました。

 

Tさんは笑いながら「まあ大変言うたら大変やけど、僕は好きでやってるからな」と表情を和らげられたのですが、眼光だけは鋭いものがあったのです。

 

ボクシングファンの方ならご存知だと思うのですが、Tは40歳を過ぎた現在でも現役を続けておられ、本気で「もう一回世界チャンピオンになる」と目標を持って日々、トレーニングを続けておられるのです。

 

国内ルールに規制により、Tさんはボクシングの試合を国内ではできない状態であり、そのため、試合をするときは海外でリングに立たれています。

 

実は私は大のボクシングファンでもあり、Tさんのそんな現状も知っていました。

 

そんなTさんと二人で話す機会など、普通では絶対あり得ないことなので、個人的、聞きたいことはいっぱいあったのですが、今はTさんの愛猫の葬儀中であり、私は葬儀屋という立場であります。

 

仕事を忘れてあれこれ質問できるはずもなく、仕事に徹しないといけないと必死で自分に言い聞かせながら気持ちを切り替えました。

 

しかし、Tさんの口から次に出たのは「僕、ボクシング好きなんでね・・・」という言葉でありました。

 

「はい。」

 

言葉を飲み込むように、私がそう返事すると、Tさんは、まるで独り言を言われるように、いろんなご自身の話をしてくださったのです。

 

内容はプライバシーなことでもあるので、ここでは控えさせてもらいますが、Tさんのボクシングに対する熱い想い、その言葉の一つ一つは私の心に強く響くものでありました。

 

Tさんは最後に「自分の道は自分で決めなあかん。ボクシングかって息子らにもやりたかったらやればええし、やりたくなかったらやらんでエエって言うてます。だから本人がボクシングする~言うから「じゃあやったら」言うてるだけで、僕がさしてるわけではないんですわ。それは僕も同じで自分が好きで続けてるだけで、目標あるからやってるだけですわ」と言われたのです。

 

私はうなずいた後、少し間を置いて「Tさんの今の目標とはなんなんですか?」と質問をしました。

 

Tさんは即答で「もう一回世界チャンピオンになることです。それしかないよ。」と真顔で答えられたのです。

 

そんなTさんの眼光を見た私は自分の質問が愚問であったことに気付きました。

 

そして、そのとき、大枝公園ちゃんの火葬が無事に終わったのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

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遺骨のメモリアルアクセサリーに込められた ある世界チャンピオンの魂

今から3年前のことであります。

 

会館に愛猫ちゃんの葬儀に来られたご家族を出迎えた私は、車から降りてきた男性を見て、思わず「あ!」と声を出しそうになりました。

 

その男性は、プレシャス会館のある大阪の守口市の地元では知らない人がいないほど有名なプロボクシングの元世界チャンピオンだったのです。

 

私は一瞬、仕事を忘れて一ファンの心境になるのを抑え、気持ちを落ち着けてご家族を会館に案内しました。

 

元チャンピオンは試合とは別人なような優しい目でセレモニーホールの祭壇を見つめ「へ~こんなん(こんな風に)なってんや」と独り言のように言い、二人の息子さんが、その言葉につられるようにしてホールに入られたのです。

 

奥さんから猫ちゃんを手渡された私は、そのまま祭壇に寝かせてあげ、ご家族に「この子のお名前は?」と猫ちゃんの名前を訊ねました。

 

そのとき、奥さんと、二人の息子さんは恥ずかしそうに表情を和らげられたのですが、元チャンピオンは真顔で「大枝公園です」と言われたのです。

 

私は一瞬、質問を聞き間違えられた思い、「大枝公園?名前がですか?」と聞きかえしたのですが、元チャンピオンはいたって真面目に「そうです」と答えられたのです。

 

このとき、他の家族は堪え切れず、笑ってしまわれたのですが、特に次男さんは少し顔を赤らめるようにして笑っておられました。

 

元チャンピオンは家族に「なんで笑うんや」と厳しい口調で言われたのですが、その口元も緩んでいました。

 

「実は僕、ボクシングしてまして」

 

元世界チャンピオンがそう言われたので、私は「もちろん存知あげてますよ。Tさん」と、このとき初めてTさんの名前を口にしました。

 

Tさんは、ペコンと頭を下げ「そんで、今から18年前にロードワークしてんたとき、大枝公園にこいつがおって、後ついてきよったんですわ」と、子供のような表情で言われた後「ついて来たら飼わんとしゃーない(仕方ない)でしょ?そんで、名前何にしょーかなって思ったんですけど、大枝公園におった猫やから名前も大枝公園でエエっか思ってそうしたんですわ」と言われたのです。

 

「それで・・・大枝公園と・・・」

 

私は不覚にも可笑しくなってきてしまい、言葉に詰まってしまいました。

 

それを見たTさんは「ええよええよ^^笑ったって」と関西特有の空気で私を救ってくれたのですが、ご家族も葬儀の緊張感が薄れたように一同笑みを浮かべられたのです。

 

その後、読経をあげさせてもらい、お焼香の儀の後、Tさん家族は祭壇の大枝公園ちゃんを囲うようにしながら最後のお別れをされていました。

 

そして奥さんから出棺の意向の声をいただき、大枝公園ちゃんは火葬炉に納められ、私はご家族が合掌で見守る中、点火のスイッチを押させてもらったのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

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励み。そして存在意義

今日から12月です。

 

今年も残すところ、後、一ヶ月足らずとなりました。

 

弊社プレシャスコーポレーションは年中無休であるので、当然ながら年末年始も通常営業と同じであります。

 

でもやはり、12月と正月は少し違う感覚で毎年、仕事をしています。

 

12月になると、毎年、やり残したことがあるように感じますが、具体的にそれがなにかと言えば何もないような気もしますし、小さいことを数えれば、キリがないのも事実です。

 

しかし、そんなことを考える暇もないほど、この時期は忙しくもあるので、バタバタしているうちに時間だけがが過ぎて行き、気が付けばまた新しい年を迎えています。

 

 

先日、17歳で永眠した、ある犬ちゃんの飼い主さんであったUさんが納骨堂に参拝に来られたとき、「少し早いのですが」と前置きをされてから年末のご挨拶をしてくださいました。

 

そんなUさんの腕には仔犬が抱かれていたのですが、私が気になって「あれ?この子は?」と訊ねると、Uさんは、少し照れたように笑みを浮かべながら「つい先日、迎えたんです」と仔犬の顔が私に見えるように腕の角度をずらして、そう言われたのです。

 

Uさんは「もう犬は飼わんとこって思ってたんですけどね・・・もう体が犬のいない生活になれなくて」と仔犬を優しく撫でながらそう言われました。

 

「良いことだと思います」

 

私がそう言うと、Uさんはなぜか申し訳なさそうに頭を下げられたのです。

 

これは我々人間心理でよくあることなのですが、新しいペットを迎えたことで、先立ったペットに、なにか悪いことをしているような罪悪感を感じてしまうのです。

 

でも、それは間違いであり、先立ったペットもそのことを責めたりすることはないと私は思っているのですが、実際に罪悪感とまではいかなくとも、少し気が引ける人は、意外と多いのも事実です。

 

その後、仔犬を交え、Uさんと少しお話をしたのですが、Uさんは帰り際、「来年もその先もプレシャスさんには頑張ってもらってこの子の葬儀のときもお願いします」と言われたのです。

 

「葬儀って、その子はまだ赤ちゃんなんで、だいぶ先じゃないですか^^」

 

そう笑って言った私に、Uさんは「そうですけど。でも、本当、プレシャスさんには感謝しているんです。だから、ずっと今のままのやり方で続けて行ってほしいんです」と言ってくださったのです。

 

Uさんの愛犬ちゃんの葬儀のとき、担当させてもらった私は、何も特別なことはせず、いつものように、ただUさんのお見送りのサポートをしただけでありました。

 

でも、Uさんは、そのことを、とても感謝してくださったようで、葬儀を終えて帰られる際にも、深くお辞儀をして感謝労いとのお言葉を下さったのです。

 

手前味噌な話に聞こえるかも知れませんが、無事にお見送りを終えられた飼い主さんから感謝の言葉と一緒に「こんな所があるとは知らなかった」「ここであげてよかった」「まだペットを飼っているので、また何かあればよろしくお願いします」等のお言葉を添えていただくことが、よくあります。

 

病院と警察と葬儀屋には縁が無いに越したことはない。

 

一般的には、そう思われており、私自身もそう思っております。

 

しかし、命には限りがある以上、避けて通れないのが葬儀であり、皆さんもそのことを重々に承知されておるので、そのようなお言葉をくださるのでありましょう。

 

Uさんに限らず、そう思ってくださる人がいるというのは、私の励みでもあり、弊社プレシャスコーポレーションの存続意義の源でもあります。

 

今年もその気持ちだけはブレることなく師走を迎えました。

 

そして、年が変わっても、その気持ちだけは変わらずに持っておこうと思っております。

 

 

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「原点」二度 殺される 最終回

二回殺されたような気持ち・・・

 

Tさんのその言葉は、ペット葬儀という仕事を始めて間もない私にとって、とても衝撃的で重みのある言葉でありました。

 

私が以前、このブログで、「飼い主さんにとって、葬儀の日であってもペットは死んではおらず、ただ、呼吸をしていないだけ」と表現したことがあったのですが、そのように強く感じるようになったのも、Tさんの、この言葉が大きく影響したように思えるのです。

 

そして同じくTさんが仰った呼吸をやめたペットの抱き方。

 

これは、意識してたわけではなく、また、誰に教わったわけでもないのですが、始めたときから、自然と優しく抱くようにはしていました。

 

けして自分の事を良く言うつもりはないのですが、それだけは自然にできていたと自負しています。

 

だから、私も、言葉にすれば矛盾している「死んでるのではなく呼吸をしていないだけ」という感覚を当初から持ちながら、この仕事をしていたのかもしれません。

 

そして、その気持ちの価値観を共有できたとき、飼い主さんと葬儀屋は依頼する側とされる側の垣根を越えて、同じ気持ちとまではいかなくても、同じ立ち位置でペットを見送ることができるのだと、私は思っています。

 

火葬が無事に終わり、愛猫ちゃんの遺骨を目にされたTさんは涙を滲ませながらも「うわ・・・すごく綺麗に骨が残ってる・・・」と優しげな笑みを浮かべられました。

 

その時、訪問直後にTさんから感じていた敵意にも似た警戒心も完全に無くなっており、あるのは「一緒に見送った」という同士の気持ちであったのです。

 

Tさんはお骨上げをお母さんと二人でされたのですが、二人共、時折、愛猫ちゃんの思い出話をしながら笑っておられたのが、とても印象に残っています。

 

全てのセレモニーを無事に終え、帰る私をTさんとお母さんは外に出て見送ってくれたのですが、私が角のクリーニング屋さんを曲がるまで、ずっと頭を下げて見送ってくださったのです。

 

私はこの時のことを今でも覚えているのですが、それは、私がペット葬儀という仕事をして、初めて感じた達成感のような気持ちでもありました。

 

この仕事をしようと思ったとき、きっと毎日のように人の悲しみに触れ、性格まで変わってしまうんじゃないだろうか?と不安になることもありました。

 

「ペット葬儀の仕事を始めようと思ってる」と言ったとき、家族や周囲の人達も首を傾げ、特に母は反対しました。

 

おそらく、そんな心配があったのかも知れません。

 

しかし、このTさんのご依頼を機に、私は「自分のようなペット葬儀屋にしかできない仕事がある」と、実感し、前向きに捉え、そして、この仕事に邁進していくようになりました。

 

そして、今でも、その気持ちは衰えることなく、逆に強くなっていくばかりであります。

 

そんな私の原点となり、ターニングポイントにもなったのがTさんの猫ちゃんの葬儀であったのです。

 

世の中にはいろんな飼い主さんがいて、いろんなペット達がおり、その数だけ関係性も異なります。

 

それら全ての飼い主さんと価値観を共有できる訳ではありませんが、少なくともTさんのようにペットはペットではなく家族であると考える人とは、同じ気持ち、同じスタンスでお見送りのサポートをさせていただけると、私は信じています。

 

そして、それがプレシャスコーポレーションの理念でもあるのです。

 

 

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「言葉の真意」二度 殺される 6

Tさんから同業者の苦情的な話を聞かされた私は複雑な心境でありました。

 

これは、現在もそうなのですが、当社に初めてご依頼された方。

 

それが友人や知人の紹介でもなく、インターネット等で検索されてご依頼された方は、我々葬儀屋に不信感をお持ちになられていることも少なくありません。

 

中には不信感を通り過ぎて敵意に近い感じで鋭い視線を向けられる方もいらっしゃるのですが、それは全て、ペット葬儀業界への信頼度の低さが原因であると私は思っております。

 

つまりは警戒されているのです。

 

Tさんも2年前の経験から、その気持ちが強く、それは電話で問い合わせをされたときから、そうだったのだと思います。

 

その時、Tさんが、不意に「あそこは2年前、更地だったんですよ」と、Tさんの自宅がある住宅街の角の店舗を指差しました。

 

「はあ・・・」

 

いきなり話題が代わり、何の話かわからなかった私はそう、気の無い返事して、Tさんが指差す方向に視線を向けました。

 

そこは一階がクリーニング屋さんで、二階が住居になってる建物で、周りの住宅に比べると、まだ真新しい感じがしていたのですが、Tさんがなぜそこを指差されたのかがわからず、私はTさんに視線を戻したのです。

 

Tさんは、まだ遠くを見るような目でクリーニング屋さんを見つめていたのですが、その表情は言葉をかけるのも躊躇うほど、意味深なものでありました。

 

「あのクリーニング屋さんがどうかしたんですか?」

 

私はそう聞こうと思ったのですが、そんなTさんを見て、思わず言葉を引っ込め、無言でTさんの言葉を待ちました。

 

Tさんは一度、目を深く閉ざしてから「ふ~」と大きく息を吐きました。

 

そして、「前の子が亡くなったとき、まだ、あそこ建つ前で更地だったんですね。それでそのときの葬儀業者さんそお更地に車を乗り上げるようにして停められたんですよ。それで(亡くなった猫ちゃんを)連れて帰るとき私ここから門の影に隠れて見送ったんですよ・・・そしたらその業者さん、早足で車に戻って、乱暴に車に〇〇(猫ちゃんの名前)を置いた後、そのまま助手席から大きなビニール袋をとって、その中に投げ捨てるようにして入れたんです・・・」とTさんは顔を歪めながらお話してくださったのです。

 

「ひどい・・・話ですね・・・」

 

私が率直な思いを口にすると、Tさんは顔を振りながら「でも、ひどかったのはその後なんです」と語尾を強めてそのように言われたのです。

 

「その業者さん、その後、袋の口をねじりながら括った後、ガムテープで何重も巻いたんです・・・確かに死語10日経ってたし、匂いもあったのは事実なんですけど、私、その光景を見てて『なにもそこまでしなくってもいいじゃない!』って心の中で叫びました」

 

Tさんはそこまで話、蒸せるようにして泣かれました。

 

私はハンカチをTさんに差し出したのですが、Tさんは首を振って受け取らず、手で涙を拭われたのです。

 

「すいません・・・なんか・・・思い出して感情的になってしまいました・・・」

 

Tさんはそう私に言って頭を下げたので、私は「いえ・・・」とだけ返事をしました。

 

「確かに他人からすればペットの死体なんて汚い物なのかも知れないでけど、ああいうのは見たくなかったです・・・・」首を落とし、Tさんはそう呟くように言った後、「私からすれば、二回殺されたような気持ちになってしまったんです・・・」と涙と無念さを滲ませながら、強く唇をかまれたのです・・・

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

 

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「二年前の出来事」二度 殺される 5

2年前に医療判断ミスで猫を亡くした・・・

 

その事実を火葬中にTさんから聞いた私は無言でうなずくことしかできませんでした。

 

暫しの沈黙の後、Tさんは指で涙を拭うようにしながら、「そんなこともあって、結局、亡くなってから一週間ほど、火葬してあげることもできなかったんです」とポツリと言われたのです。

 

「やっぱり、ちゃんと死因を突き止めたかったし、別の病院にも掛け合って検査の依頼もしたんですけど、その病院も明確な対応はしてくれなかったんですけどね・・・」

 

そう言ったTさんの顔は、悲しみより悔しさが滲んでいました。

 

このようなとき、医師は同じ立場である病院側をかばう傾向があり、病理検査の申し込みを引き受けてくれないケースがよくあり、私も同じような話を幾度となく聞いたことがあります。

 

私はその時のTさんの気持ちを思い、胸が詰まるような心境になりました。

 

「結局、火葬業者さんに連絡したのは死後10日ほどしたときで、そのときは、火葬業者のことまでは、あまり深く考えず、タウンページで一番近い業者さんに電話して来てもらったんですね」

 

不意に、話は火葬業者の話になり、そのことを口にされたとき、一点してTさんの表情が厳しくなったのです。

 

「私、そのとき、おたくさん(当社のこと)のようにこんな風に自宅前で火葬してくれる会社があることも知らずに、その業者さんに頼んだんですけど・・・」

 

Tさんはそこまで言って唇を噛むようにされました。

 

私は少し間を置き「それで・・・その業者さんは何か問題があったんですか?」と静かな声で訊ねました。

 

Tさんはゆっくりとうなずきながら「まあ、亡くなって10日経ってたこともあったんで、多少は仕方ないとは思うんですけど、その業者さんに猫を渡したとき、明らかに不快な顔をされたんです・・・それで一応、『すいません』ってこっちも謝ったんですけど、何も返事しないで、すぐに『もう連れていって宜しいですの?』ってぶっきらぼうに言ってさって取ってそのまま連れて帰りはったんです・・・」と、その日のことをお話してくださったのです。

 

当時はまだペット火葬業界も創世記であり、いろんな業界の人が副業的に多く参入していた時期でもありました。

 

それは、葬儀屋というより、回収屋に近い感覚でされてた業者も多くあり、飼い主さんの気持ちなど、あまり考えずに、引取り専門でろくな対応もせず、業務的な仕事をするのが特徴であります。

 

そして、そのような業者さんは、今も残っており、ペット火葬業界全体の評判を落としているのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

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「悲しき過去」二度 殺される 4

猫が好き。

 

確かに私は猫に限らず子供のころから動物というか、爬虫類や昆虫も含め生き物が好きでありました。

 

現在、ペット葬儀のご依頼がある、犬、猫、ハムスター、小鳥、爬虫類も小学生のときには家に居たし、身近な存在になっていたのも事実です。

 

しかし、ペット葬儀という仕事を通じて知り合った飼い主さんや、プレシャスコーポレーションのスタッフの中には、もっと猫が好きな人間がいますし、それに比べたら私の猫好きなんて、大したことはないなと、日頃から感じることもあります。

 

そして、Tさんからも猫に対する愛情がとても強いことは、この僅かな時間であっても感じられ、そんなTさんから「猫が好きですか?」と聞かれたとき、少し戸惑い気味に返事をしてしまったのですが、それは、そんな理由からでありました。

 

その後Tさんが仰った「抱き方」のこと。

 

抱き方でその人のことがわかると言われたTさんは、そう言われた後、暫しの間、無言になられ、寂しげな表情になられたのです。

 

不意にTさんが「猫を亡くしたのはこの子が二度目なんです」と言われました。

 

私は言葉を飲み込むように「・・・はい」と返事をして、Tさんの次の言葉を待ちました。

 

「正確には三度目なんですが、最初の猫は私が3歳のときに死んだので、記憶はないんです。だから私が世話をしたというか、最初からずっと一緒に居た猫を亡くしたが二度目って意味です。」

 

そう言ったTさんは少し鼻を啜られるようにされた後「前の子が亡くなったのは2年前なんですけど、口内炎が出来て病院に行ったんですね。最初はお薬だけで治るかなって思ってたんですけど、思ってたより悪いらしく、歯を抜く必要があるって言われて手術することになったんです」と思い出すように言われたのです。

 

「・・・それで?」

 

私がそう訊ねると、Tさんは「それで麻酔して手術することになって・・・手術は成功して、その日に帰れたんですけど、なんか家に帰っても元気がなくて・・・まあ手術をした直後だし、こんなもんなんかなって思ってたんです・・・そしたら夜にグッタリしだして、呼吸もだんだん弱くなってきて慌ててもう一回、病院に行ったんですけど、もう閉まってて・・・そのまま・・・病院の前で息を引き取ったんです」と言って、目に涙を滲ませました。

 

「原因は麻酔だったんですか?」

 

Tさんの顔を見ながら私は訊ねました。

 

Tさんは首を傾げ「私もそうかなって思って、次の日に病院に行って原因を調べてもらったんですけど、ちゃんと一定時間に目を覚ましたので、そうではないって言われました。それで、『じゃあなぜ?』って問いただしたんですけど、お医者さんも『これだけはわかりません。色んな悪い要素が重なったとしか言えません』の一点張りで、結局、原因はわからなかったんです」と顔を伏せ、涙を流されたのです。

 

そんなことがあったんだ・・・

 

私は心でそうつぶやきながら、無言でうなずくことしかできませんでした。

 

「病院側は治療費を全額返してくれたんですが、私はお金のことを言うてるんじゃなくて、原因を教えてほしくって、行ったのに・・・そんな対応だったんです。それで法律の専門家にも相談したんですけど、結局はそれ以上、進展はなかったんです・・・」

 

吐き出すようにそう言ったTさんの表情からは悲しみと無念さが滲んでいたのです。

 

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。

 

 

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