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最終章 涙の謝罪

お骨の一部が変色してしまった。

私の、その言葉にKさんは表情を強張らせ「え?どういうことですか?どうなったんですか?」と不安そうに歩みよってこられました。

私は言葉を噛みしめるように「原因はわかりませんが、シャンちゃんのアゴ付近が焦げついたようになってしまったんです」と事実を伝えたのです。

「なんでそうなったんですか?どうにもならないんですか?」と今にも泣きそうな顔でKさんは私に訊ねたのですが、その時点で原因はわからなかったので「すいません。今は、なぜそうなったのかわかりません。直接見たら、きっと原因がわかると思います。火葬炉の温度が下がるまで出せないので、もう少し待ってください」と私は説明しました。

 

火葬炉の温度は最大で1200度まで上がり、扉が開けられる目安温度である400度以下になるのには10分ほど要します。

この時ほど、温度が下がる時間が長く感じたことはなかったのですが、火葬炉の温度が下がるまでの余熱でシャンちゃんの体は完全にお骨になり、変色した顔以外のお骨は、ほぼ原型を損ねることなく綺麗に残ったのです。

 

電源を切り五分ほど経過し、火葬炉の温度計が600度を切った頃でした。

彼氏さんが「今までに今回と同じようなことがおこったことはあったんですか?」と質問をされたので「いえ。私も初めてのことです。亡くなった子が癌を患っていたような場合、腫瘍があった箇所はその部分の骨が黒ずんだりすることはありますが、今回はそういう黒ずみとは違いますね・・・」と私は返答しました。

「そうなってしまった場合はどうしようもないんですか?」と、さらに彼氏さんが訊ねられたので「いえ、専門の刷毛で払えば、ある程度は取り除くことが出来ます。しかし、今回は少し状況が違うので何とも言えません」と私が答えたところ、間髪いれずに「どう違うんですか?」とKさんは不安そうに聞かれたのです。

「はい。腫瘍等は患部であっても体の一部のようなものなので、例え焦げても、変色するほどお骨に付着することはないんですが、今回は何か異物が燃えたような感じだったんですよ」と私は見たままをお伝えしたのです。

「異物?・・・って何ですか?」とKさんは困惑ぎみに質問をされました。

「それが何なのかは直接見ないとわからないですが・・・おそらく金属だと思います」と私が返答すると、Kさんはハッとした顔をされて「わかった・・・私の所為(せい)やわ・・・」と涙ぐまれたのです。

状況がわからない私と彼氏さんはKさんの顔を見ながら、ほぼ同時に(「どういうこと?」「どういう意味ですか」)とKさんに訊ねました。

Kさんは指で涙を拭いながら「ネットとかで火葬のとき、他のペットの骨と差し替えされたりする業者がいてるって書いてあって、もし、そんなんされたら絶対に嫌やから、シャンの骨ってわかるように火葬炉に入れる前にシャンの口の中に鈴を入れたんです・・・」と、事実を告白されたのです。

「鈴を・・・」と言ったまま、私は言葉を失い、彼氏さんも泣き出したKさんの肩を抱きながら、やり切れないような表情をされていたのですが、私も彼氏さんも、そんなKさんの気持ちが理解できたので、その事実に対し、何も言うことはありませんでした。

 

泣き続けるKさんに「Kさん、ゴム製やプラスチック製の物なら溶けて骨にこびり付いてしまうことがあるんですが、鈴が溶けて付いた煤(すす)なら何とかなるかもしれません」と私は励ますように言いました。

「本当ですか?」とKさんは涙と雨で濡れた顔を上げられたので「断言はできませんが、やれることはやってみます」と私は力を込めて返事をしたのです。

 

火葬炉の温度が下がり、私はシャンちゃんの遺骨を炉から出しました。

シャンちゃんの顔以外のお骨は綺麗な真っ白に残ったのですが、顔の右側のアゴ付近は焦げたように黒く変色していたのです。

私は速やかに遺骨をトレイごと玄関に運んだ後、もう一度、火葬車に戻り刷毛と綿のガーゼをとって、再び玄関に戻りました。

 

玄関ではKさんがシャンちゃんの遺骨に「ごめんねシャン。こんなになって・・・許してね」と嗚咽をあげながら謝っておられたのです。

余熱で煤がこびり付く前に取り除くほうが良いと判断した私は「Kさん。いいですか?」と声をかけました。

彼氏さんに抱きかかえるようにされて、Kさんは場所を空けてくださったので、私は刷毛を静かに煤の付いた部分にあて、ゆっくりと一払いしたのです。

刷毛で払ったとき、少し煤が取れたのでこびり付きは見た目より深くないと感じました。

後ろから彼氏さんが「どうです?いけそうです?」と心配そうに訊ねられたので「はい。大丈夫だと思います。思ったほどひどくはありません。たぶん綺麗に落とせると思います」と私は返事をしました。

「ほん・と・うです・か・・・」と、涙で言葉を詰まらせながらKさんが言われたので、私は振り返り「はい。やってみます。少し時間をください」と答えました。

 

そして私は、骨が崩れないようにしながら、刷毛で煤を取り除く作業に没頭しました。

固唾をのんでKさんと彼氏さんが見守る中、約20分ほどかけてシャンの顔に着いた煤を全て取り除いた後、二人にシャンちゃんの骨が見えるように場所を空けながら「取れました」と私は笑顔でお二人に報告をしたのです。

煤が取り除かれて綺麗になったシャンちゃんの顔の骨を確認したKさんは、涙をながしながら「ありがとうございました」と両手で私の右手を掴んで頭を下げられ、彼氏さんは「ふ~」と安堵の溜め息を漏らした後、Kさんの肩を(よかったな)と言うように優しくトントンと叩きました。

 

その後、通常通り、Kさんと彼氏さんの手でシャンちゃんのお骨上げが執り行われ、一時はどうなるかと思われたセレモニーは無事に終えることが出来たのです。

帰り際、Kさんは私に「野村さん。今日は悪い態度をとって本当にすいませんでした。本当に本当にありがとうございました」と深く頭を下げられて言ってくださったのです。

「いえいえ。とんでもございません。Kさんは悪くないです。世間の評価の低い私達の業界がいけないんです」と私は謙遜しながら答えた後、お辞儀をし、Kさん宅を後にしました。

 

シャンちゃんのセレモニーを通じ、私はあらためて、愛するペットが亡くなったとき、飼い主さんが安心してお見送りのできることが、いかに大切であるかを学び、このことを機に、私はホームページをリニューアルし、個別・立会い・返骨を理念としていることを明記することにしたのです。

 

そして、お葬儀・ご火葬・お骨上げまでの一連のセレモニーの流れを通し、飼い主さんがずっと立ち会うことが可能な、現会館のコンセプトにも、この時の教訓が受け継がれているのです。

 

そして、Kさんと彼氏さんは、その後、当社の良き理解者となってくださり、友人や知人のペットが亡くなったときは、当社を推薦してくれるようになり、その紹介者の数は、今現在で、7名を数えています。

 

本当に有難いことだと思っております。

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一



 

大阪 ペット葬儀・火葬に関するお問い合せはプレシャスコーポレーションまで

大阪本社 大阪府守口市菊水通3丁目7-9

ペット葬儀・火葬のご依頼はフリーダイヤル:0120-982-660



 

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