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一番つらい仕事 後編

その日の夜、Fさんから電話があり「言うてたように明日の夕方の5時に妻と二人でそちらに伺います」と予定通り、翌日、シンちゃんのセレモニーをプレシャス会館で執り行うことになりました。

翌日、私と支配人は夕方までに、それぞれ、別のセレモニーを無事に済ませ、会館でFさんご夫婦の到着を待ちました。

 

時計が5時を少し過ぎた頃、Fさんご夫婦は車で来館され、助手席からFさんの毛布で包んだシンちゃんを抱いた奥さんが降りてこられたのです。

ひどく、落ち込まれておられると思っていた私は、意外にも笑顔で会釈された奥さんを見て、少しだけ、ほっとした気持ちになりました。

 

私はFさんご夫婦をセレモニーホールの方へ案内し、あらためて奥さんに自己紹介をしました。

「今日はよろしくお願いします」と丁寧に御挨拶された奥さんは、本当に上品な人で、奥さんというより奥様と呼ぶのがピッタリくるような凛とした雰囲気のある人でありました。

そして、奥さんはおもむろに「この方達?」とFさんにお訊ねになり、Fさんは「そうや」と短くお答えになられたのです。

何のことかわからなかった私と支配人はきょとんとした顔をしてお互いの顔を見合せたのですが、奥さんが抱いたシンちゃんを撫でながら「昨日、主人がこちらに寄ったとき、お二人共、シンちゃんを優しく撫でてくださったんでしょ?それを聞いて本当に嬉しかったんです。ありがとうございました」と頭を下げて言われたのです。

「いえ。」と私は恐縮しながら頭を下げ、支配人も無言のまま頭を下げていました。

奥さんは「昨日ね、主人が帰ってくる前から、シンちゃんのこと、もしかしてって予感めいたものがあってね・・・不思議と涙が出なかったんです。でね、主人に『火葬とかしてくれる霊園さん探さなきゃね』って言ったら『もう、見つけてきた』って言うんで、詳しく聞いたら、こちらのこと話してくれて、それで、その時にお二人がシンちゃんを撫でてくれたって聞いてね、私、それを聞いて、本当に嬉しくてね」と優しい表情のまま言ってくださったのです。

前日、私と支配人がのシンちゃんを撫でさせてもらったことを、奥さんが、これほどまでにお喜びになってくださったとは、思いもしなかったので「いえ・・・そう言ってくださって・・・はい。良かったです」と、私はしどろもどろになりながら、そのように言葉を返したのです。

 

 

奥さんとの柔らかい会話で始まったシンちゃんのセレモニーは終始、穏やかなものでありました。

出棺され、ご火葬が始まってからも、それは変わらず、Fさんご夫婦は待合室でも笑顔で会話をされていました。

 

そんなご夫婦を見た支配人は「僕、こんな穏やかなセレモニーになるって思っていなかったですわ」と自身の感想を口にしたのですが、それは私も同じであったので「そうやな。もっと奥さんが沈んだ状態で来られると思ってた」と答えた後、付け足すように「でも、二人とも悲しい気持ちなのは間違いないと思うで」と言いました。

「そうでしょうね。何て言うか、悲しい以上にほっとしたって言うか、きっと病気のシンちゃんとを見るのはつらい毎日だったかもしれませんもんね」と支配人がしみじみと言い、私は「そうやな。『楽なれてよかったって』って思う気持ちもあったかも知れへんな」と答えたました。

 

お二人は本当に仲の良いご夫婦のようで、お骨上げのときもずっと一緒に肩を並べて、シンちゃんの思い出話をしながら大切そうにシンちゃんの遺骨を丁寧にお骨壺に納めておられました。

 

全てのセレモニーが終わり、Fさんご夫婦は「今日は本当にありがとうございました」と頭を下げて言ってくださり、私と支配人も「いえ。お疲れ様でございました」とお辞儀をしたときでありました。

このまま、シンちゃんのセレモニーが穏やかに終わりを告げると思ったそのとき、奥さんがお骨壺を抱きしめながら、すすり泣くようにして肩を震わせたのです。

私は一瞬、何事かと驚くだけで、何の反応も出来ず、ただ、呆気にとられてしまい、それは隣に居た支配人も同じでありました。

 

「さあ帰ろう」とFさんが優しく奥さんの肩を抱くようにしながら助手席のドアを開け、奥さんをエスコートするように席に着かせたのです。

奥さんが助手席に座ったのを確認した後、Fさんは静かにドアを閉め、回り込むようにして運転席に座られました。

エンジンをかけたFさんは窓を下げながら「お世話になりました」と私と支配人に声をかけ、そのまま帰って行かれたのですが、奥さんは、最後までうつむいたままの姿勢であり、私と支配人は呆然と車を見送ることしか出来なかったのです。

 

Fさんの車が見えなくなっても私と支配人は言葉を失ったまま、その場に立ち竦んでいたのですが、支配人が「奥さん・・・きっと懸命に悲しみを堪えながら気丈に振る舞っておられたんでしょうね・・・」とポツリと言い、私も同感せずにはいられませんでした。

支配人の言った通り、奥さんは終始、笑顔を絶やさず、お見送りをされていました。

しかし、小さく(お骨に)なったシンちゃんを抱いて、初めて、シンちゃんが居なくなった実感が湧いてきたのかも知れません・・・

奥さんの心の変化を察することすら出来ず、淡々とセレモニーの進行を見守っていた私は自分の浅はかさに呆れてしまう結末になったのです。

 

そして「まだまだやな俺ら・・・」と私は吐き捨てるように言い、支配人は無言でうなずきました。

 

Fさんが言った「一番つらい仕事」とは本当にその言葉の通りであったに違いありません・・・

それをわかっていながら、私は結局、何一つFさん夫婦の立場に立って物事を考えれていなかったのです。

 

いろんな意味で、今回は忘れられないセレモニーになりました。

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一

 

 



 

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