最後のお散歩

城東区のチワワのキキちゃんのお葬儀を弊社にて承りました。
 
予定の時間に到着し依頼主様のマンションの前からお電話をかけました。
「すぐ降ります」と返事をもらったので火葬車の焼却炉の前に線香とろうそくをセットして
依頼主様とキキちゃんが降りてこられるのを待ちました。
 
返事をもらって30分が過ぎ、何か手違いがあったかもと思い、もう一度、電話をしようと携帯電話に手をかけたとき、マンションの正面玄関から依頼主がうつむきながら出てこられました。
 
すでに冷たくなったキキちゃんをバスタオルで包んで、大切に優しく胸に抱きながらゆっくり歩いてこられたので、私も歩み寄り、静かな声で挨拶をしました。
 
依頼主様は眠ってるようにしか見えないキキちゃんから視線を外すことなく「どうも」とだけ力ない声でつぶやきました。
 
火葬車のすぐ後ろまで、歩いてきたとき、依頼主様が初めて顔を上げ、焼却炉の前に設置された小さな祭壇に目をやり、「すぐに焼くんですか?」と目に涙をため、私に問いかけました。
 
「いえ。今日はキキちゃんのセレモニーしかありませんので、お時間はあります。それに気持ちの整理が御済でないなら、翌日でもかまいませんよ」
 
私がそう言った後、重い沈黙が私と依頼主様とキキちゃんを包みました。
 
依頼主様が私に顔を向け「もう1度だけ・・・最後に・・・いつも行ってる散歩コースを歩いてきていいですか?」と涙ながらに言いました。
 
一瞬だけ仰っておられる意味が把握できなかったのですが、すぐに理解し「ええ構いませんよ」と返事しました。
 
歩き始めた依頼主様の背中越しに「お邪魔でなければご一緒していいですか?」と私は尋ねました。
 
「ありがとう」と笑顔で答えてくださったので、急いで備え付けの祭壇を片付け火葬車をコインパーキングに駐車しました。
 
ゆっくりとした足取りで依頼主様と私はキキちゃんの散歩コースを歩きました。
歩きだしてすぐに道路わきの電柱のところで依頼主様の足が止まりました。
「キキはいつもここでオシッコするんです」そう言いながら依頼主様は胸に抱いたキキちゃんの顔を見つめながらつぶやきました。
 
その後、私と依頼主様はキキちゃんのマーキングポイントごとに足を止め、近くの公園のベンチに腰掛けました。
「ここでリードを外すんです」そう言って依頼主様は、まるで胸に抱いているキキちゃんが元気よく走っているかのように公園の広場を眺めておられました。
 
きっと本当に依頼主様には元気に駆け回るキキちゃんが見えていたのかもしれない。
そう思えるほど、静かで優しい眼差しでした。
 
「もしよろしければ、お別れは明日に変更させてもらっても構いませんよ」と私は言いました。
「いえ、もうキキも神様のとこに行きたいはずやから・・・」
そう言って依頼主様はベンチから腰を上げました。
 
 
30分後、キキちゃんは依頼主様に見守られながら神様のもとへ召されました。
 
 
 

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