60日の命

捨て猫や迷い猫だった猫を家に連れて帰って飼われた経験のある人なら理解できると思うのですが、そんな猫たちとの最初の出会いは目ではなく耳で感じたのではないですか?

つまり、猫の鳴き声に呼ばれ、その存在に気付いたのが始まりであったという意味です。

 

門真市のFさんもそんな経験をしたお一人でした。

その日、Fさんは、いつものように仕事場に自転車で向かう途中、信号待ちのときに、か細い鳴き声に呼び止められました。

声のするほうを振り向くとマンションの玄関前の植木の花壇の上で、その子猫は鳴いていたのです。

仔猫はそこから降りれないのか、震えながらFさんに助けを呼ぶように鳴いていたそうです。

朝のラッシュ時ということもあり、人通りも車の通行量も多い時間帯であったことから、おそらく見かねた通行人の誰かが仔猫をその花壇に避難させてのであろうとFさんは思いました。

信号が青に変わりFさんが自転車のペダルに足を置いたとき、子猫は「いかないで」とばかり、いちだんと大きな鳴き声をあげました。

Fさんは迷いました。そして「どっちにしても、公園とか、少なくとももう少し車が少ない場所に避難させてあげよう」と決め、子猫を自転車のカゴに乗せ、職場に向かいました。

自転車でFさんは「どこか安全な場所ってあったかな」と考えをめぐらせ通いなれた通勤路を辺りを見渡しながら走りました。

しかし、職場に向かうまでに、そのような場所はなく、Fさんは子猫を連れて出勤することにきめました。

仕事場の責任者に事情を説明し、「この日だけ」ということで、仔猫を職場に入れることを許可してもらいました。

昼休みのときには仕事場の同僚達がFさんと仔猫のもとに集まってきて、まだFさんが仔猫を飼うと決めたわけでもないのに「病院でワクチンうってもらいや」とか「ミルクは専用の哺乳瓶がないと上手く飲めないよ」とアドバイスをくれるのでした。

Fさんは最初、社内で仔猫の里親になってくれる人を探そうかと思ったのですが、皆からアドバイスをもらううちに、そのことを忘れ、仕事が終わったころには、すっかり仔猫と一緒に暮らす心構えになっていたそうです。

そして、同じように猫を飼っている同僚から教えてもらった動物病院へ行き、仔猫の健康診断とワクチン接種をうけました。

医師の診断によると、仔猫は生後2ヶ月未満らしく、全体的に弱っているとのことでした。

Fさんは病院かも出された粉の栄養剤と市販のスープ状のフードを購入し、医師から言われた通り規則正しく食事をとらすことを心掛けようと思いました。

自宅に戻って仔猫が栄養剤とスープを飲んでくれたとき、なぜか、Fさんは涙がでたそうです・・・

私が思うにFさんは命というものに触れ、こんなに小さくても必死で生きようとしている仔猫の姿に感動したのかもしれません。

Fさんは、その夜、仔猫ちゃんにパミュと名付けました。

その翌日は休日ということもあり、Fさんは仔猫を小さな布のバックにスリース素材のマフラーと一緒に入れ、近くのペットショップに買物に行きました。

動物病院の医師や猫を飼ってる同僚から教えてもらったフード類やベット等、数点購入し、自宅に戻りました。

自分のベットのすぐ隣に仔猫のベッドを置いて、こらから始まるパミュちゃんとの新しい生活に胸を踊らしてFさんは眠りについたそうです。

翌朝、目が覚めてFさんは真っ先にパミュちゃんのベッドを覗きました。

Fさんは布団に入ったまま、顔だけをパミュちゃんのベッドに寄せ「おはよう」と声をかけたのですが、パミュちゃんはぐっすり眠っているようで、Fさんの呼びかけに何の反応も示さなかったそうです。

少し気になったFさんは半ドーム状になっているパミュちゃんのベッドの屋根をめくって様子をうかがいました。

するとベッドの底にパミュちゃんがオシッコかウンチをしたのか、黄ばみた汚れがありました。

Fさんは布団から出ておそるおそるパミュちゃんの体を指で優しくつつきました。

指から伝わった感覚は冷たく固い感覚だったそうです。

慌ててFさんはパミュちゃんをベッドから出し抱き上げました。

パミュちゃんの首は力なく垂れ下がり口元はベッドの底にあったのと同じ黄ばみた嘔吐物と思われるものが付着していました・・・

何がなんだかわからなくなってしまったFさんは泣きながら猫を飼っている同僚に電話をして、事態を伝えました。

同僚さんは「だいぶ弱ってて、寝ているときに食べたものをもどしたのかもしれない・・・そのとき喉につまらせて・・・そのまま・・・」と途中まで説明をして声を詰まらせたそうです。

プレシャスコーポレーションにお葬儀とご火葬のご依頼の電話を下さったのは、この同僚の人でありました。

ご費用も同僚さんをはじめ会社の社員さん達が少しずつ出し合ってFさんに渡されたそうです。

パミュちゃんのお葬儀にはFさんと同僚さんのお二人が参列され、ご火葬も一緒にお立合いされました。

ご火葬が終わり、お骨あげはFさんの自宅で行なったのですが、そのとき、真新しいパミュちゃんのベッドや買って来たまんま、袋の中に入っているネコジャラシのオモチャを目にして私は胸が詰まりそうになりました。

パミュちゃんの一生は60日にも満たない短かなものではありましたが、最後の2日間はFさんや同僚さん達の愛と優しさに包まれた時間であったに違いありません。

もし、その朝、Fさんがパミュちゃんに気付かずに通り過ぎていたなら、パミュちゃんは人の温もりを知らずに生涯を終えていたでしょう。

そう思うと、その儚い一生の中で、パミュちゃんがそれを知り、包まれながら旅立てたことに、私は微かな喜びに似た感情を覚えたのでした・・・

 

パミュちゃんの遺骨は当社で取り扱っている中で一番小さな2寸の骨壷に納められ、年明けにプレシャス会館に納骨されることになりました。

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