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最終章 死に至った経緯と悲しき告白

仔猫ちゃんが亡くなった悲しい経緯をYさんから聞かされた私は、項垂れるYさんの肩を見つめていました。

 

Yさんは深い悲しみと同時に大きな罪悪感を抱えて苦しんでおられたのです・・・

私もYさんの隣に座るようにしてブロック塀に腰かけました。

 

時間にして5分ほど、私とYさんは無言で、座ったまま時間を過ごしました。

私はYさんにかける言葉を探したのですが、そのときは見つけることは出来ませんでした・・・

 

そして沈黙を破るように、Yさんが重い口を開き「俺に拾わられへんかったらこんなことになれへんかったのに・・・」と吐き出すように言われたのです。

「Yさん。お気持ちはわかりますが、それは結果論です。このようなとき、結果論でものを言っても意味がありません。そんなこと言い出したら、もし、Yさんがその日、仔猫を保護しなかったら、イタチに襲われたり、車にひかれてもっと短い命だった可能性だってあったわけだし、餓死してたかもしれないじゃないですか」と私は反論するように言いました。

 

Yさんは、鼻を啜るようにしながら「そりゃ確かにそうですけど、そういうのって自然の中での出来事っていうか避けれないことですやん。でも、こいつが死んだのは明らかに俺の不注意が原因やと思うんですよ・・・」と言われたのです。

「言われてることわかりますよ。わかりますが、今、自分を責めて何か変わるっていうんですか?責めたところで状況は変わらないと思いませんか?」と私は隣のYさんの顔を覗き込むようにしながら訊ねました。

 

私にそう言われ、Yさんは視線を落としたまま黙っておられました。

「Yさん。私達のところにペットの葬儀をご依頼される中には、老衰や自然死ばかりではありません。全体の一割は、Yさんと同じように飼い主さん側の何らかの不注意が原因で命を落としたペット達なんですよ」と私は言いました。

「・・・そうなんですか?」とYさんは顔を上げて少し驚いたように私を見ました。

「はい。でも、Yさんのように、亡くなった経緯を話してくださらない飼い主さんもいらっしゃるので、実際にはもっと多いかもしれません」と私は正直に答えました。

少しの間を置いて「そういう不注意って、例えば踏んでしまったりとかですか?」とYさんはお聞きになられたので「ええまあ。でも足で踏んでしまったり、ベッドで一緒に寝ていてるときに体で押しつぶすてしまったりして亡くなる圧死はそれほど多くはないですね。やはり一番多いのは抱いてるときに誤って落としてしまって亡くなる転落死のケースですかね・・・」と私は答えたのです。

Yさんは遠くを見つめるような視線になって無言のまま何度も頷くようにしておられました。

私は続けるように「そのように直接的なことが原因でペットが死に至った以外でも、ペットだけを家に残して出かけて熱中症で死なせてしまうようなことも毎年、夏場にかけて後を絶たないんですが、それも飼い主さん側の不注意と言えば不注意と言えるのかもしれませんね」と私がそこまで話したとき、Yさんは膝に置いた仔猫ちゃんの顔を優しく指先で撫でておられました。

そんなYさんと仔猫ちゃんを見て「かわいい顔してますよね」と私は独り言のように言い、Yさんは寂しそうに笑いながら頷かれていました。

 

そして、Yさんは仔猫ちゃんを見つめながら「そんな人達って、みんな、どんな感じなんですか?」と言われたので「どんなとは?葬儀の時ですか?」と聞き返した私に「葬儀のときもそうですけ・・・そのあととか」と訊ねられたので「そうですね・・・やはり皆さん一応に沈んだ気持ちのまま葬儀を終えられますね。もちろん、その後のことは、お手紙でもくださらない限りどうされているかはわからないですけど」と答えました。

「まあ・・・そうですね・・・」とYさんは納得されたか、されていないのかわからないような返事をされたので、私は「Yさん。僕はね、Yさんのように自分の不注意でペットを亡くされた人にいつもお伝えすることがあるんですよ」と話を切り出しました。

「なんですか?それは?」とYさんは聞かれ、私は「はい。それは『亡くなったペットのことを亡くなった理由も含めて忘れないでいてください』ということです」と言いました。

「はい・・・忘れないというより、忘れられないです・・・」とYさんは視線を落としながらつぶやかれたので「でもねYさん。僕の忘れないでという言葉の意味は、自分を責めろと言う意味ではないんですよ。例えばねYさん。亡くなったのが人間だった場合、故意でなくとも場合によっては法律で罰せられますよね。でもペットの場合、ほとんどが、それを罰する法律がないでしょ?そのことが逆に人を苦しませることになることもあると思うんですよ」と言った私に「どういう意味ですか?」とYさんは困惑したような表情で聞かれました。

「つまり、不慮の事故であっても人を死に至らしめた場合、罰金を払ったり刑務所で刑に服すことで、形式的には罪を償えますよね。でもね、ペットの場合はそれに当てはまらず、ましてやそれが自分のペットの場合、形式的な罰則は無いに等しいのが現状です。だから、飼い主さんは自分で自分を裁くような心理になって、最終的に自分を責めることになるんです」と私は説明をし、Yさんは黙ってうなずいていました。

「でもね、そうやって自分を責めてみても何も解決しないし、酷な言葉ですが、亡くなった命も返ってきませんよね・・・だからこそ、残された飼い主さんは、その事実を胸に置きながら、忘れず生きていくこくらいしか出来ないんですよ。それが償いになるのかは誰にも答えられないことだと思いますが、僕はそれが償いになり、そして、亡くなったペットへの供養になると思ってるんです」と私は自分にも言い聞かせるように、Yさんに伝えたのです。

 

その後、私とYさんは30分ほど、その場でお話をしました。

そして、Yさんは「なんか時間かけてすいませんでした。そろそろ火葬してあげんといけませんね・・・」と言いながらゆっくりと立ち上がりました。

 

会館に戻り仔猫ちゃんの火葬が無事に終わったときは日付が変わっていたのですが、Yさんは来られたときよりもすっきりとした表情で丁寧にお骨上げをされていました。

 

全てのセレモニーを終えたYさんは、会館を出られるとき「いろいろありがとうございました」と、仔猫ちゃんの遺骨の納められたお骨壺を胸に抱いたまま、深く頭を下げて帰っていかれました。

Yさんに私の言葉がどのように伝わったのかはYさんに聞かないとわからないことであります。

 

しかし、私はYさんの後ろ姿を見送りながら、Yさんのこれからの人生の中で「自分に出来る償い」というのを見い出していかれるような気がしていました。

 

いつの時代であっても本当の償いというのは心でしか出来ないものであると私は思っており、Yさんは、それができる人であると私は感じました。

 

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一



 

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