スタッフブログ―スタッフの日々、感じたことを発信します。

不信感から始まるセレモニーで

東大阪市の萬本(まんもと)さんという女性からペットのご葬儀とご火葬のご依頼があったのは先月のことでありました。

電話をとった私はセレモニーの流れを概ね説明した後、萬本さんから火葬するに際し、何点かの具体的な質問をうけたのですが、その内容は「個別火葬なのか否か?」「立会いは可能か否か?」「小さなペットであっても遺骨は綺麗に残るのか否か?」等、どれも大切なことばかりでありました。

私は弊社プレシャスコーポレーションが「個別火葬」「立会い」「返骨」ほ基本理念としていることを説明した上で、萬本さんのご要望にお応えすることが可能であるとお伝えしたのであります。

私はこのとき、萬本さんの冷静な話し方から何とも言えない違和感を感じました。

違和感というのは語弊かも知れませんが、萬本さんの冷静かつ的確な質問内容から(もしかして同業者かも・・・)という疑念を抱いたのであります。

というのは、私達の業界、つまりペット葬儀会社では、他社の業務内容や料金体制を調査することを目的に同業者がご依頼者のふりをして電話をかけてくることがあるのです。

そして、事細かく一通り、質問をして「では検討してまた電話します」と言い残し、電話を切ったあと、そのまま電話がかかってくることはありません。

 

私が感じた違和感とはそのことであり、萬本さんが調査目的に質問をされているのかもと感じたのであります。

しかし、萬本さんは一通り質問をされた後、「わかりました。では明日、予約できますか?」とご依頼をされ、私は自分の抱いた疑念が見当違いであることに気づきました。

そして、萬本さんはセレモニーの時間を指定された後、電話を切る最後に「できましたら、今、電話口に出ておられる方(私のこと)に担当してもらいたいのですが、可能ですか?」と申されたのであります。

翌日は別スタッフが担当するシフトであったのですが「はい。わかりました。では私、野村が担当させてもらいます」と私は返答し、電話を切りました。

 

電話を切った後「いったいどういう人なんだろう・・・」と私は思うと同時に「もしかしてペット病院か何かで勤務経験がある人なのかな・・・」と考えを巡らせていました。

それは萬本さんが質問された際、専門的な用語を口にされたこともあるのですが、それ以上にペットを亡くされた飼い主さんが自分のペットの葬儀を依頼するときに見せる、特有の悲痛な印象を萬本さんからは、あまり感じなかったからであります。

電話口の萬本さんは終始冷静な口調で、それ故に私は同業者の調査ではないかと勘違いしたのです。

それと、もう一つ気になったことがありました。

それは萬本さんとお電話でお話をしたとき、我々の業界に対し、あまり良い印象を待たれていないという雰囲気を感じたことであります。

萬本さんが私に確認した内容は全て評判の良くない業者を未然に見極めるために必要な的を得た質問ばかりであり、そのことからも何らかのペット業界に携わり、裏事情にも詳しい人であることは間違いないと私は感じたのです。

 

翌日、いつもとは違う緊張感を持って萬本さんが指定されたマンションまで向かいました。

 

正面玄関のインターホンを押し、到着したことを伝えると「はい。すぐに降ります」と応答があり、少しして萬本さんが正面玄関から現れました。

萬本さんは「萬本です」と短く挨拶をされた後「それで、どのようにしたらいいですか?すぐに(亡くなったペットを)連れてくればいいんですか?」と私の目を見ながら静かに、かつはっきりとした口調で質問をされたのです。

到着して早々、萬本さんが、そう言われたのには理由がありました。

~~~それはお電話でご依頼をうけた際、セレモニーの流れを説明するため当社が推奨している「家族葬」の提案をしようとしたときでした。

萬本さんは「そういうのは一切してもらわなくてもいいです。ただ、個別に火葬をしてくださればいいので」と即答でお断りをされたのであります。

その時、私は、萬本さんがそう言われた背景に、先にも述べた業界不信があると感じると共に、そう思うに至ったのには、いったい過去にどのような経験をされたのかが、とても気になりました。

ペットに限らず、葬儀業界には、不透明な料金体制という悪しき体質が未だに残っています。

セレモニーに欠かせない線香や骨壷等の備品類が別料金かつ高額な金額で請求されることは、もはや常識の世界でもあります。

私は、業界に蔓延るこれらの悪い習慣を払拭すべく、当社のセレモニー(お葬式~ご火葬~お骨上げ~納骨~永代供養)は全てセット料金にしたのであり、それに必要な備品類や消費税も含めた金額をホームページ上に明記することに決めました。

しかし、電話でこれ以上、お話しても、あまり溝は埋まらないと判断した私は「わかりました。ではご火葬のみ、責任をもって担当させていただきます」とこたえ、直接、お会いしてから、もう一度、お話させてもらおうと思っていました。

悲しいことではありますが、このようなケースは珍しいことではなく、初めてのご依頼のとき、私達ペット葬儀屋はご依頼者である飼い主さんから、多かれ少なかれ何らかの不信感を持たれるのは事実なのであります。~~~

 

私は手短に自己紹介を済ませ「はい。すぐに連れて来てもらってもいいのですが、もし、よろしければ、先にお亡くなりになったペットちゃんに手を合わさせていただきたいのですが。いけませんか?」と申し出たのです。

萬本さんは、私の目を見たまま、少し間を置いて「・・・ありがとうございます。では、案内しますので部屋のほうにいらしてください」と部屋まで案内してくださいました。

マンションの通路を案内されるように私は萬本さんの後をついて行ったのですが、前を歩く萬本さんの背中からは張り詰めた緊張感が伝わり、この時点ではまだ強い不信感をお持ちであることが否が応うでも伝わってきたのです。

 

萬本さんが契約されているマンションの一室にホーランドロップのセシルちゃんは安置されていました。

部屋には萬本さんのお母さんと保育園児くらいの息子さんがいらっしゃったので、私はお二人に挨拶をした後、安置されていたセシルちゃんの前に正座をして手を合わせました。

合掌をほどいた後、あらためてセシルちゃんを間近に見た私は思わず息をのみました。

セシルちゃんは、私が見てきたどのウサギよりも綺麗な毛並をしており、真珠のような艶を放っていたからです。

私は思わず仕事を忘れてしまい(綺麗・・・)と心の中で呟きながら溜息をもらしました。

そして「触らせてもらっていいですか?」と萬本さんに確認をし、承諾を得てからセシルちゃんに触れさせてもらったのです。

私は「あの・・・この子って綺麗ですよね・・・私も仕事でたくさんのホーランドロップを見てきたのですけど、この子は何か体格というか、毛の質というか、違う気がするんですけど、特別なにかケアとかされたんですか?」と萬本さんに訊ねました。

萬本さんは「それが純血種と呼ばれるホーランドロップの特徴なんですよ。ショップなんかでは平気で混血種であってもホーランドロップとして売られているんですが、血統証のある純血種はごく稀なんです」と言いながら、後を振り返り棚からセシルちゃんの血統証を見せてくれました。

萬本さんから手渡された血統証を目にしながら「セシルちゃんはお幾つだったのですか?」と訊ねた私に「4歳と八ヶ月でした・・・」と答えた萬本さんは、不意に涙を堪えるように唇を噛みしめられたのです・・・

 

このとき私は、はじめて萬本さんの人間らしさに触れたような気がしました。

電話でご依頼をうけたときも、玄関でお迎えくださったときも、萬本さんはどこか、警戒心を持ったまま私と対峙されていました。

電話での冷静な口調はペットへの愛情希薄からくるものではなく、逆に深い愛情からちゃんと見送ってあげたいと強く思う気持ちと業界への不信感が重なってのことだと、私はこのときはじめて理解したのです。

 

そして、私はあらためてセシルちゃんの家族葬を提案すべく「萬本さん。初めて当社にご依頼くださった方に『当社を信用してください』と言うのは土台無理な話だとはわかっていますが、本当に当社の料金は祭壇を設置しお焼香をあげてお見送りしてからご火葬しても追加料金は発生しないのです。もし良ければご家族でセシルちゃんとお別れの儀を執り行ってからご火葬に移られてはどうですか?」と薦めたのです。

その様子を、お孫さんにあたる萬本さんの息子さんを膝に座らせながら聞いていたお母さんが「せっかく、こう言ってくれてはるねんから、してもらったらどう?」と優しい笑顔で萬本さんの顔を覗き込むように仰ってくれました。

萬本さんは、少し間を置いた後「わかりました。プレシャスさんが、と言うより野村さんが信用できる人だとわかりましたので、そのようにお願いいたします」と丁寧に頭を下げながら言ってくださったのです。

 

その言葉をうけ、嬉しくなった私は「わかりました。ではすぐにセレモニーの準備に取り掛かります」と勢いよく立ち上がったのはいいのですが、フローリングの床に正座してたことで足が痺れ、両膝から下の感覚が無くなっていたことに立ち上がってから気付き、バランスを失った私は、よろめいて壁に持たれ掛かってしまったのです。

「すいません。足が痺れて・・・」と弁解しながら部屋を出て行く私の姿を萬本さんは笑いながら見送っていました。

 

(せっかくいい流れだったのに・・・)と自分の不甲斐なさを嘆きながら私は車までセレモニーのセットを取りに行ったのです。

 

その後、セシルちゃんのお別れの儀が執り行われ、その席で私は萬本さんの職業と、萬本さんがその職業を通してペット葬儀業に不信感を持つようになった驚きの経緯を聞かされることになるのです。

 

ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。



 

大阪 ペット葬儀・火葬に関するお問い合せはプレシャスコーポレーションまで
大阪本社
〒570-0095 大阪府守口市八島町13-36
ペット葬儀・火葬のご依頼はフリーダイヤル:0120-982-660

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