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別れを実感するとき・・・

枚方市のKさんから愛犬の芝ミックスのロッジちゃんのご火葬のご依頼がありました。

Kさんからの「ホームページに思い出の場所でも火葬できると書いてあるんですけど、それでお願いできますか」とご要望があり、私は翌日の早朝にご指定の場所である淀川の河川敷に向かいました。

この季節は日の出が遅く、待ち合わせた早朝の5時は、まだ暗い時間帯でありました。

目印のマンションの前で待つこと数分。Kさんが手製の棺を手に歩いてこられたので、私は自己紹介をした後、お悔やみを告げました。

Kさんは20代の男性で、礼儀正しいく挨拶をされた後「宜しくお願いします」と頭を下げながらロッジちゃんが納められた棺を私に手渡しました。

私は棺の蓋を開き、火葬車の後方部に祭壇に置き、Kさんと二人でお焼香をあげました。

そして、火葬炉にはKさん自らが納められ、合掌で見送られておりました。

私は「この場所は散歩コースだったのですか?」とKさんに尋ねたところ「はい。でもまあ、散歩というかジョギングですね。いつもロッジの散歩をかねてジョギングに付き合ってもらってたんで」と笑顔で仰いました。

「Kさんは何かスポーツをされてるんですか?」と私の問いかけにKさんは「一応、プロボクサーなんです」と照れ笑いを浮べながら言いました。

言われてみたらKさんは単なるスマートではなくシェイプアップした体に筋肉質でシャープなスタイルをされておられました。

「ジョギングは日課なんで、ロッジと一緒に5年間走りました」と河川敷の方に目をやりながらポツリと言ったKさんは、ふと私に顔を向けて「火葬ってどれくらいかかります?」と思い出したように訊ねられました。

「ロッジちゃんの体格ですと火葬そのものに掛かる時間は40分くらいですかね。その後、炉の温度が下がるのを待ってからお骨上できる時間になるまで約50分ほどです」と答えました。

それを聞いたKさんは「じゃあ丁度いい。いつものコース1時間くらいなんで火葬の間、ロードワーク行ってきていいですか?」と訊ねられたので私は「はい。構いませんよ。私が責任をもってご火葬させていただきますね」とお答えしました。

「ではお願いします」と一礼をされてからKさんは河川敷を駆け上がりロードワークに出られたのでした。

ロードワークはKさんにとって日課であると同時に大切なトレーニングのようで、雨の日も必ずされているらしく、この日も火葬の時間を利用して実施する予定だったそうです。

ロッジちゃんとのお別れは昨日の間に充分とったようで、Kさんは悲しみは、あまり表情には出さず、終始、爽やかな印象で私に接してくださいました。

しかし、ロッジちゃんを火葬炉に納めるときだけは小刻みに肩が震えていたことに私は気付いていました・・・

火葬の場所からは河川敷が遠くまで見渡せるので、私は走るKさんの姿を無意識に追っていたのですが、ロードワークを始めて数分したときに、Kさんはスピードを緩められ、立ち止まりました。

何かあったのかなと、私はKさんのことを注視していたのですが、立ち止まって1分ほどしたとき、Kさんは振り返り、こちらの方に歩いて戻ってこられたのです。

河川敷の階段をうつむき加減でゆっくりした足取りで降りてこられたKさんは火葬車の前にいた私に向かって「・・・今日は・・・無理ッス・・・」と小さな声で言いました。

「どうされました?」と私はKさんに訊ねたのですが、Kさんは無言で火葬車に寄り添うようにその場にしゃがみこみ、三角座りの姿勢をされ、顔を膝にうずめ込まれたのです。

そして、Kさんはその姿勢のまま「昨日、散々泣いて・・・もう湿っぽいのは昨日で終わで、明日から一人で頑張るってロッジに約束したのに・・・やっぱりいつものコース走ってたら、隣で走っていたロッジの姿を思い出してしまって・・・」と胸の内を私に打ち明けたのでした・・・

Kさんの爽やかな印象の裏側には、亡きロッジちゃんに誓った決意があったことを知り、私は少し熱いものが込み上げてきました。

私はKさんの隣に座り「どうぞ」とハンカチを差し出したのですが、Kさんは顔をうずめたまま、首を横に振って「大丈夫っす」と受け取りませんでした。

私の隣で体を丸めるKさんは先ほどまでの精悍な青年の印象とは違い純粋で繊細な少年のようでありました・・・

今はきっと一人で泣きたい心境なんだろうと感じた私は自分の着てたベンチコートをKさんにかけ、火葬車の後方に移動しました。

20分ほど経過した頃、Kさんは火葬車の後方に居た私のところに歩み寄ってこられ「コートありがとうございます。野村さんも寒いでしょ?」とコートを脱ぎながら私に返そうとされたので「私はスーツの下にヒートテック着てるから平気です。Kさんジャージの下、肌着だけでしょ?いいですよコート使ってください」と笑顔で答えました。

「走るつもりだったんで、中は薄着なんですよ助かります」と言ってコートを羽織り直したKさんの顔には笑顔が戻っていました。

そしてKさんは「昨日、涙はもう残ってないくらい泣いて、気持ちも切り替わったつもりでいたんですけどダメですね・・・いつものコース走ってたら、草むらや木とか何見てもロッジの思い出が甦ってきて・・・」とポツリと言いました。

「昨日の今日なんで仕方ないですよ。ペット亡くされた皆さんも同じようなこと仰られます。喪った当初は、何を見てもペットに結びつけて思い出してしまうって」と答えた私にKさんは「やっぱそうですよね・・・」と寂しそな表情を浮かべました。

「でも、悲しいのなんて当然なんだし、そこまで無理して切り替える必要はないですよ。時間の経過の中で、少しずつ想い出に変えていくことがロッジちゃんの供養になると私は思います」と私はKさんに言いました。

 

ご火葬とお骨上げは無事に終わりロッジちゃんのお骨は骨壷に納められKさんの胸に抱かれました。

Kさんはロッジちゃんの遺骨を抱いたまま「本当にありがとうございました。ロードワークをサボったんで、今からいつものコースを散歩してきます」と笑顔で言い残し、再び河川敷の階段を登っていかれました。

この日は天気予報通り快晴で、朝陽に照らされたKさんは両手に大切そうにロッジちゃんの遺骨を抱き、ゆっくりした足取りで河川敷を歩いていかれました。

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