- 2016-01-26 (火) 5:24
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店に到着するまで、私は経験したことのない不安な気持ちに飲み込まれそうになっていました。
信号待ちが疎ましく、何度も赤信号に舌打ちをしながら店への道を向かったのです。
そんな思いで店に到着すると、A子さんが不安そうな表情で店頭に立っていました。
「すいません、まだ戻ってないですか?」と私は車から降りると同時に訊ねると、A子さんは無言でうなずきました。
店の中には、A子さんから事情を聞いたのか、心配顔で常連のお客さんが数名、椅子に腰かけながらこちらを見ていたので、私はA子さんに「お客さん達には言ったの?」と訊ねると、A子さんは「はい・・・馴染みさんなんで言いました・・・すいません」と視線を落としたのです。
「ううん。いいよ。仕方ない」と私はA子さんに言った後、店に入り常連さん達に「すいません」とお詫びを言い「とりあえず今日はこういう状態なんで悪いんですけど営業は出来ません」と頭を下げました。
常連さん達は「ええよええよ。」と口々に言ってくださり、常連さんの一人が「それよりママが心配やな・・・どこ行きはったんやろ・・・マスターが亡くなってからすっかり元気なくなってたからな・・・」とポツリと言ったのです。
私はうなずきながら「そうですね・・・とりあえず僕は家を見てきますので、皆さん今日はお引き取りください」と、もう一度、頭を下げました。
「そやな、家に帰ってるかも知れんから一回見て来たほうがええよ」と常連さん達も言ってくださったので、私はA子さんに「じゃあ僕行ってきますんで、後お願いします。A子さんも今日は帰ってくれていいですよ」と言い残し、再び車に乗り込み家に向ったのです。
当時、私は家を出て一人暮らしをしており父と母は店から車で5分ほどのハイツに住んでいました。
そのハイツまで向かう5分の間、私の脳裏に最悪な結末が幾度となく浮かんできたのを覚えています。
最悪な結末・・・
母が父の後を追ってしまったのではないかという結末であります・・・
首筋から肩にかけて例えようのない悪寒が走り、ハンドルを持つ手がガタガタ震えていました。
オカン早まるなよ・・・・オトン、オカンがそっち行きたいって言うても突き返せよ・・・
そんな独り言を口走りながらハイツに到着した私は車から部屋のある二階を見上げました。
部屋の電気は消えており、私は車から飛び降りるようにした後、階段を駆け上がったのです。
そこまでは素早く出来たのですが、いざハイツの鍵を開けるとき、また、良からぬイメージが頭に浮かんできて吐き気すらもよおすほど、私は呼吸を乱していました。
今でも覚えています・・・・あのとき、私は父の後を追うように、母が自らの命を絶つのではないかという不安から、ドアの向こうに変わり果てた母の姿があるのではないかと思っていたのです・・・
震える手で鍵を回し、ドアをゆっくり開けました。
母の靴はない・・・
少しホっとしながら全ての部屋と浴槽とトイレの中も母の姿がないと確認をしたとき、安堵から床にへたりこんでしまったのです。
安心してる場合じゃない。オカンはどこ行ったんや・・・とりあえずヒョコって帰ってるかも知れんから、もう一度、店に戻ろう・・・
すぐに我に返った私は心でそうつぶやき、ハイツを出てもう一度、店に戻ることにしたのです。
店ではA子さんも常連さん達もそのまま帰らずに私を待ってくださっていたようで、私の顔を見る度「どうやった!?」と身を乗り出すようにして訊ねたので、私は「いませんでした」とだけ答えました。
それを聞いたA子さんと常連さん達はいっせいに力なく椅子に身を沈めるように黙り込まれたので、私は「とりあえず、オカンが行きそうな所を探してみます」と言うと、A子さんは「私も一緒に探します」と言い、常連さん達も「俺らも協力するで!何でも言うてや」と言ってくださったのです。
ブログのスペースが無くなりましたので、この後のお話は次回に紹介させていただきます。
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野村圭一
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