スタッフブログ―スタッフの日々、感じたことを発信します。

熱中症で孤独死するペットを増やさないために

その日は普段より重い気持ちで依頼者様宅に向かいました。

といっても仕事柄、軽やかな気持ちで出向くことはないのですが、その日は「帰ったらペットが固くなってて・・・もしかしたら死んでるのかしれない・・・」と泣きながらAさんから、お電話があり急遽、事態が把握できないまま、Aさん宅に向かうことになったからでした。

Aさんは、以前に友人のペットが亡くなったとき、当社が執り行ったセレモニーに参列されたことがあり、その時に担当した私の名刺と当社のパンフレットを、持っておられ、私とも面識があるとのことだったのですが、私は直接、お会いして顔を見るまで思い出せませんでした。

Aさん宅はワンルームマンションであり、到着してすぐに部屋に通された私はペットちゃんが横たわっているベランダのドアの前に歩み寄りペットちゃんの体に触れました。

ペットちゃんはすでに息途絶えており、死後硬直の進行具合から、最低でも死後24時間以上は経過しているものと思われました。

私は後ろにいらしたAさんの方を振り返り「あの・・・申し上げにくいのですけど、すでにペットちゃんは亡くなっていると思われます」と言いました。

Aさんは、電話の会話では「気絶してるのかも」と仰っておられたのですが、私が訪問するまでの間にある程度の覚悟はしておられたのか、ハンカチで口元を押さえたまま無言で頷ずきました。

Aさんは帰宅して、すぐに異変に気付き、気が動転しながら、当社に電話をかけたようで、電気もつけず、服装も外出時のままで、私の到着を待っておられたようでした。

Aさんは「死因はなんなんですか?」と涙ながらに質問をされたので「持病はなかったのですか?」と逆に尋ねました。

Aさんは無言で首を振りながら「二日前まで普通に元気だったんです。二日ほど留守にするので、エサも水も多めに置いて出たんです」と小さな声で仰いました。

私は「餓死とかそういうことではないと思います・・・私は医者ではないので、はっきりした死因は特定できないのですが・・・」と前置きしなが「おそらく熱中症が原因なのではないでしょうか・・・」と言いました。

Aさんは「室内なのに?ですか?」と信じれないような口調で仰いました。

「ええ。誤解されがちなんですけど、熱中症は野外より室内のほうが発症しやすいんですよ。この部屋は午後からの陽がベランダの窓に差し込む造りになってますし、かなり室温が上がったと思います。ここ二日間、日中はかなり気温が高かったですし・・・まあ何度も言いますが、私は医者ではないので、ちゃんと調べるなら掛かり付けのお医者さんご相談されてみてはどうでしょうか?」私はベランダから強く射し込む西日の方に目をやりながら自分なりの解釈をAさん伝えました。

私が訪問してから、ずっと立ったままでいらしたAさんは、私の説明を聞いて力なく床に座り込まれ、大粒の涙を流しながら「私の所為(せい)で死んだんですね・・・」とポツリと独り言のように仰りました。

私は「故意ではないので誰かのせいだとは思いません。ただ・・・」そこまで言って私は言葉をのみ込みました。

思わず出そうになった、その言葉は、愛犬を亡くされた直後の飼い主さんにとってはあまりにも非情なことだと気付き、私は口を閉ざしました。

しかしAさんは、力なくともハッキリした口調で「ただ・・・何ですか?」と促すように質問されました。

私は「いえ。何もありません」と返答したところ、間髪入れずにAさんは「ただ何ですか?はっきり言ってください!」と私の顔を見ながら部屋に響くほどの声で仰りました。

私はAさんから一度、視線を逸らし、一呼吸を置いてから「いちセレモニー会社の私が言うことではありませんが、故意ではないにせよ、お一人でペットを飼われる飼い主さんとしての知識とペットに対する配慮が欠けていたのではないでしょうか?」と言いました。

その言葉を聞いてAさんは力なく肩を落としたまま泣き崩れました。

私は座った姿勢のまま、「すいません。決して責めようと思って言ったわけではないんです。すいません。Aさん大丈夫ですか? ・・・わかったようなことを言ってごめんなさい」とAさんの顔を覗くように言いました。

Aさんは泣きながら首を横にふって「ううん。本当のことやもん。私がいけなかった」と顔を手で覆うようにして泣き続けました。

私は、やはり言うべきではなかったと、自分の発言を後悔しました。

Aさんの涙はとまることはなく、私もかける言葉も見つけれないまま数分が経過したとき、Aさんが「すいません」と言って顔をあげました。

私は「こちらこそ、すいません。本当に自分の立場もわきまえないで・・・」と頭を下げました。

「ううん。誰かに、そう言われたかったんです。でなきゃ、Pに※(ペットちゃんの名前)申し訳ない・・・」と涙をハンカチでふきながら仰り、続けるように「もちろん、そんなことで許されるとは思ってません・・・」とペットちゃんの方を見ながらつぶやきました。

私は「Aさん。これから、どうされます?もし、よろしければ、ちゃんとお医者さんで死因を調べてもらいますか?葬儀や火葬はその後でもかまいませんよ」と言いました。

Aさんはしばらく考えた後、「ずっと独りで待ってやったし・・・早く神様のところに行かせてあげたいから・・・」そう言ってペットちゃんのところに歩みよられ「ごめんね・・・」と何度も言いながら冷たくなったペットちゃんの頭を撫でておられました。

その後、部屋に祭壇を設置し、Aさんと私は、Pちゃんのお葬儀を執り行い、出棺には棺は使わず、Aさんが手に抱いて火葬車に納めておられました。

火葬の間、Aさんは涙を流しながら手を合わせて見送っておられました。

私は「これ。どうぞ」とハンカチを差し出しましたが、Aさん目を瞑ったまま首を横に振り、受け取りませんでした。

Aさんは黙祷しながら両手を握り締めるように合掌しておられ、その姿は弔いをするというより、懺悔をされてるかのように私には見えました。

火葬の間、Aさんは一言も話すことなく、その状態のまま40分間祈りを捧げておられました。

火葬が無事に終わりAさんの手によってお骨あげされ、ペットちゃんのお骨はお骨壷に納められました。

すべてのセレモニーが無事に済み、少し平静さを取り戻されたAさんが「Pと同じような亡くなりかたをするペットって多いのですか?」と私に尋ねられました。

私は「セレモニーのときに死因までお聞かせくださる飼い主さんは多くないので、何とも言えませんが夏場は少なくないと思いますね。特にAさんのようにお一人暮らしのところは」と答えました。

Aさんは視線を落とし「そうですか・・・」と力なくつぶやきました。

私は「実際、日本のここ数年の夏は、異常な暑さですしね。それなりの対策は必要だと思います」と言いました。

「対策って?」と聞いたAさんに「やはり、ペットだけで、お留守番させるなら、もっとも温度が上がるお昼の数時間、エアコンのタイマーをセットして室温を35度以上にならないようにしてあげる必要がありますね。そして数日、家を空けるときは、実家や友人にペットを預けるか、預かってくれる人がいないなら、ペットホテルなんかを利用するほうがいいですね」と答えました。

Aさんは自分を責めるように「無知でした・・・今までも二日くらいなら留守番させてたから安心してたんです・・・」と仰いました。

そして、「プレシャスさんのホームページのブログにいろいろとペットのこと書かれてますよね」と思いがけないことを仰られました。

私は「はい。ペットセレモニーを通じて、我々が感じたことなどをいろいろ書かせてもらっております。あの・・・それがどうかされましたか?」と尋ねたところ、「私、友達のペットの葬儀のとき、帰ってからホームページ見させてもらったんです。それからちょくちょく、ブログも拝見させてもらってたんです」と仰り、少し間を置かれて「できたらPのこと書いてくれませんか?」と言いました。

「それは別に構いませんが・・・Pちゃんのどのようなことを書かせてもらえばいいですか?」と私は聞きました。

Aさんは「Pというか私のことを書いてください」と仰り「Aさんのことをですか?」と聞きなおした私に「はい。私のように一人で犬を飼ってる人ってすごく多いと思うんです。皆、熱中症とかのことまで気が回ってない人もいると思うんです。Pと同じような苦しみを受ける子が少しでも減るように、私のこと悪く書いていいので、お願いします」と仰ったのでした。

私は「そういうことですか。特別、Aさんのことを悪く書くつもりはありませんが、このような悲しい出来事があったことを、私なりの見解で書かせてもらいます」と返事しました。

別れ際、Aさんは手に抱いたPちゃんのお骨壷を見つめながら「私は本当に取り返しのつかないことをしたんですね・・・これからどうやって償っていけばいいんですか?」と再び涙を流され私に問いかけました。

私は「もちろん命日にはお線香をあげたりすることも大事な供養ではあると思うのですが、私が考える一番の償いは『忘れない』ことだと思います。楽しかった想い出と一緒に、自分の不注意でペットに悲しい思いをさせたことも忘れずに、覚えておいてもらいたいです」と答えました。

私のその言葉をAさんは黙って聞いておられました。

私は続けるように「私はお金をかけることが供養だとは思っていません。供養は心でするもんだと思っています。だからといって自分を責めて塞ぎこむのではなく、その悲しい事実を背負ったうえでAさんらしく生きて行ってもらいたいですね」と言いました。

Aさんは「いろいろとありがとうございました」と私に深く頭を下げられたので、私も無言で頭を下げました。

今回のことを書くにあたってAさんは「熱中症で孤独死するペットを増やさないためにも、私のことは実名で書いてくださっても構いません」と仰ったのですが、私の判断で伏せさせてもらうことにしました。

ただ、Aさんのお気持ちとお心遣いは充分にご理解した上で書かせてもらいました。

これからの季節、人間同様ペットの熱中症には充分な注意が必要です。

とくに犬の場合、猫に比べても暑さに弱いので、動物病院等で具体的な対策を聞いてみるのもいいと思いますし、最近はショップでもいろいろな熱中症対策グッズも販売されているので、ショップで尋ねてみるのも一つの方法かもしれません。

しかし何より大切なのは飼い主さんのペットに対する日々の気遣いであり、それに勝るものはないのです。

コメント:1

ハン 19-08-09 (金) 7:15

2019年8月8日(木)ラブラドールレトリバー14歳の飼っていた犬を死なせてしまいました。

当日は母と姉は出掛けており昨日午前10時頃、娘の私がベランダに犬を出しました。それから2時間ほど外に出しっぱなしにしてしまい。母が帰ってきてから犬をしまおうとわたしがベランダに出たら犬はもう死んでいました。

いつもは大丈夫だからと油断して、さっきは元気だったのに、2時間も外に出しっぱなしにして、私は家に居るのに…隅の方で固まって死んでいました。わたしのせいで死なせてしまいました。

発見したときには死後硬直が進んでいて、とても体温が高かったのを覚えています。抱えながらごめんね…暑かったよね…ほんとにごめんね…と手遅れなのに謝りました…。

私の不注意と、夏の暑さ対策が全くできていなかったためおこったことです。
犬を飼う資格が無かったと、後になって悔やみました。
この後悔を胸にきざんで、死なせてしまった犬を一生忘れずに、2度とこのようなことがもうおこらぬよう生きていきます。

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

このエントリーのトラックバックURL
http://www.precious-corporation.com/blog/archives/1460/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
熱中症で孤独死するペットを増やさないために from スタッフブログ|ペットの訪問火葬のプレシャスコーポレーション

Home > 未分類 > 熱中症で孤独死するペットを増やさないために

  • 亡くなったペットの遺骨で作るメモリアルグッズ
  • 永代供養
  • ペット火葬について日々のスタッフブログ
  • ペットロス 愛するペットの死を乗り越えるために
  • 訪問可能エリア 大阪・京都・兵庫・滋賀・和歌山・奈良 その近辺のエリアに関してもお気軽にお問い合わせください。

ページトップへ