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ペットの死を受け入れられない心

「妹の犬が一週間前に亡くなったんですけど、火葬お願いできますか?」とお電話を下さったのは9歳で永眠した小型犬の飼い主Kさんの実姉にあたるMさんでした。

通常、ペットの火葬をご依頼される場合、ペットが亡くなった翌日~二日後に連絡下さることがほとんどで、死後一週間というのは状態を保つために特殊な手法を施されたケースを除いては、ごく稀なことであり、私は少し気になって「死後一週間ということですが、現在はどのような状態であられますか?」と質問をしました。

Mさんは「病気で亡くなったんですけど、妹がかなりショックを受けていて、それで、なかなか手放せなくなったというか・・・今は発砲スチロールに氷と一緒に入れて冷やしてるような状態です」と少し困惑ぎみに説明してくださいました。

「わかりました。では、いつお伺いさせてもらえばよろしいでしょうか?」と私が尋ねたところ

「出きればすぐに来てもらえますか。妹がいないうちにやりたいので」と仰いました。

私はMさんのこの言葉の裏側に複雑な事情が在るような気がして「飼い主さん(妹のKさん)が不在のときに火葬を執り行うということですか?」と質問をしました。

「ええそうです。もうあの子に任せてたらキリがないので。妹にはちゃんと後から私から説明しますので、そちらにはご迷惑かけませんから」と強い口調で仰りました。

「はい。仰ってることは理解できるのですが・・・ただ、いくらご姉妹の間柄であっても、やはり飼い主さんである妹さんに無断で火葬をするというのは、少し問題があるのではないでしょうか?」と私は率直な意見を言いました。

Mさんは少し感情的に「ですから、もうキリがないんです。お金は私が払うんで問題ありません」と仰られました。

「いえ。私はお金のことを言ってるのではありません。妹さんのお気持ちのことを考慮して申しているんです」と返答しました。

「だから本当にもうキリがないと言ってるじゃないですか。おたくが無理なら結構です。他に頼みます」と電話をお切りになられました。

私は出過ぎたことをしたのかなと、電話の受話器を見ながら少し反省しました。

ところが、すぐにMさんから電話がかかってきました。

Mさんは「あの・・・さっきの方ですか?すいません切ってしまって・・・少し感情的になってしまって・・・」と小声で言ってくださり、私も「いえ、こちらこそ余計なことを言ってすいませんでした」と謝罪しました。

その後、少し冷静になられたMさんから詳しい話を聞かせてもらいました。

Mさんと妹のKさんは市内のマンションで二人で暮らしており、決して仲が悪い姉妹ではありませんでしたが、亡くなった愛犬の処遇を巡って意見が対立しているようでした。

妹さんと何度も話し合ったようなのですが、いつまでたっても愛犬の死を受け入れられず、手放させない妹さんとの話は平行線のままで、仕方なくMさんは妹さんが仕事に出かけてる間に無断で火葬を済ませようとしたようでありました。

Mさんは泣きながら「私もCちゃん※(亡くなった犬ちゃんの名前。今回は飼い主さんの意向に従い伏せさせていただきます)のことが可愛くないわけじゃないんです。でもこのまま放っておけないじゃないですか。実際、臭いもきつくなってきてるし」と辛い胸の内を打ち明けてくれました。

私は「すごく理解できます。とりあえず、今からそちらに伺います。お会いして直接、もう一度、詳しくお話を聞かせてください。その上で判断させてください」と伝えMさんKさん姉妹のマンションに向かいました。

マンションに着き、部屋に通してもらいMさんと挨拶を交わした私は、妹さんの部屋で安置されてるCちゃんのところに案内してもらい正座をして手を合わしました。

Cちゃんは死後一週間経過してるとはいえ、たえず氷で冷やされていたせいか、私が想像してたほど、状態は悪化しておりませんでした。

そしてリビングに戻り、もう一度、Mさんから、ここまでの経緯を聞かせてもらいました。

話を聞かせてもらう中で、私は「妹さんはCちゃんの死を受け入れられないということですが、具体的に言うと、亡くなってからでも毎日Cちゃんに話しかけたり、抱いて散歩されたりしてるんですか?」と質問したとき、Mさんは「そこまでひどくないです。それじゃあまるで頭のおかしな人じゃないですか」と私の見当違いな解釈に思わず笑いながらもしっかりとした口調で仰りました。

「ああ。どうもすいません」と私は慌てて謝罪しました。

私はこのやりとりで、このような状況下であっても冷静なMさんに関心するのと同時にKさんのこと想うMさんの姉妹愛を感じました。

Mさんは「まあ、そこまでは、ひどくはないのはないのですが、なんていうか、亡くなった日は私も、すぐに火葬とかは考えれなかったんですけど、やっぱり、このままじゃいけないし、三日くらい過ぎたときから妹に『火葬してあげよう』って言ったんですけど、妹は『まだもう少しここに置いていてあげたい』って聞かなくて・・・で、昨日の夜、さすがに、限界だと思って強い口調で言ったら口論になって・・・やっぱりこのままじゃCも可哀想だし、早く自然に還してあげたいし・・・それでプレシャスさんに電話したんです」と説明してくださいました。

話を聞き終えた私は「やはり、この状況で妹さんに無断で火葬をするのは賛成できません。それは私の仕事上の立場というより、後々、ご姉妹の間でシコリが残ることになり兼ねないように思うんですが」と意見を述べました。

私の意見を聞いてMさんは「そうですよね・・・」と視線を落とされました。

「妹さんは何時頃に帰宅されるんですか?」と聞いた私にMさんは時計を見ながら「早ければ後、2時間くらいで帰ってくると思います。Cのこともありますし、真っ直ぐ帰ってくると思います」と仰いました。

私は「もしよろしければ私も交えて三人で話し合いませんか?」と提案し、Mさんも「そうですね。第三者の人が入ってくれたほうが、ちゃんと話せるかもしれないですしね。でも、いいんですか?」と気遣ってくださったので「こういう事も含めて我々の仕事の範囲内なんで大丈夫です」と言い、妹さんの帰宅に合わせ再度、訪問させてもらうことになりましいた。

2時間後、再びご姉妹のマンションを伺ったとき、妹のKさんは、まだ帰宅されておられず、私はMさんと二人で待つことになりました。

15分後、Kさんが帰宅され、私はMさんを通じKさんに紹介されました。

Kさんのお気持ちを考慮し、Mさんと相談した結果、私はペットセレモニー会社の亡くなったペットの状態を綺麗に保つことを担当している者だと名乗りました。

※事実、弊社では亡くなったペットを最長で約二週間、状態が保てる衣装品も完備しており、ご要望がある場合は、そのようなサービスも承っております。

いきなり自宅で見知らぬ人間を紹介されたKさんは、最初、戸惑っておられましたが、私がCちゃんの安置のお手伝いをする人間とわかり、丁寧に対応してくださいました。

MさんはKさんに「とりあえず、2週間は状態が保てるということだから、よく相談して、これからのこと決めよ」と言いました。

Kさんは「ううん・・・ごめんねお姉ちゃん。気使ってくれてありがとう。私もわかってるねん。ちゃんと火葬して骨を拾ってあげなあかんて・・・」とポツリと仰りました。

私とMさんは黙ったままKさんを見つめ次の言葉を待ちました。

「ただ、踏ん切りがつかないねん・・・」と言ったKさんの目から涙がこぼれました。

「わかるよ。でもな、Cだって、日に日に衰退いくようで、見てるのも辛いやん。なるべく変わらんうちに見送ってあげたいやん」と言ったMさんの目にも涙が滲んでいました。

Kさんは手で涙を拭いながら「わかった・・・」と言いました。

そう言った妹の頭を姉は優しく抱き寄せるようにハグしました。

第三者である私の介入は必要ないくらい、その後、姉妹は冷静に話し合われ、すぐにお葬儀が執り行われることになりました。

その後、棺に納められたCちゃんは姉妹の手により出棺され、マンションの来客用の駐車場に停めさせてもらった火葬車にて天に召されました。

火葬の間もご姉妹は少し離れたベンチに座り、火葬を見守りながら、仲良くお話をされていました。

本来はとても仲の良いご姉妹のようで、時折、笑顔を交えてCちゃんの想い出話にふけておられました。

そのとき、一際、大きな笑い声がしたので、振り返って見たら、妹のKさんが口を押さえて笑っておられました。

「どうしたんですか?」と聞いた私に姉のMさんが「いや、さっきの話を妹にしたんです」と言いました。

「さっきの話?」と私が聞きなおしたところ、Mさんは「妹がCの死を受け入れられないって私が説明したときプレシャスさんが『妹さんは亡くなったCちゃんを抱いて毎日散歩してる』って勘違いしはったことです」と笑いながら仰りました。

Kさんは笑いながら「でもわかる。私、本当にCが亡くなった翌日は抱いて、いつもの散歩コース連れていってあげようかと思ったもん」と言いました。

それを聞いたMさんは「本気で言ってるの?そんなことしたら近所さんから変な目で見られるよ」と言ったので、私は姉妹の会話に割り込むように「いや、でも実際、ペットが亡くなったとき、散歩仲間の人達にお別れを兼ねて、ペットを抱いていつもの時間に散歩される飼い主さんはいらっしゃいますよ」と言いました。

私は続けるように「実際、私もこの仕事をしてきた中で、火葬をする直前に、もう一度だけペットを抱いて散歩コースを歩きたいと申し出られた人もいましたし、私もご一緒させてもらったこともあるんですよ」と話しました。※当ブログ{最後のお散歩}参照

それを聞いてMさんは「そうなんですか?」と目を丸めて仰りました。

「はい。なんというか、最後にペットへの想いを噛みしめるような感じで散歩コースを歩いておられましたね」と言いました。

「ああ・・・でも言われてみたらその気持ちわかる・・・」とMさんは言い、Kさんも無言で頷いておられました。

30分後、無事に火葬は終わり、ご姉妹の手によってCちゃんのお骨は骨壷におさめられました。

電話でご依頼を受けたときは、どうなるのかと少し不安でありましたが、最後はご姉妹が揃って笑顔で見送ってくださり、私はマンションを後にしました。



 

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