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学校に迷い込んだ仔犬 ラヴちゃんのお話

その日の朝、鶴見区の小学校では生徒達の人だかりができていました。

その輪の中では生後間もない1匹の仔犬が震えるように体を揺すり小学生たちを見上げていました。

怪我をしているのか、生まれつきなのかはわからないが、前の片足を折り曲げたまま、フラフラとよろめきながら歩く子犬の姿を見た2年生の生徒が「このまま放っておけない」と思い教室まで連れていったのでした。

思わぬ仔犬の登場に、そのクラスの生徒は大喜びで歓迎しましたが、「先生が仔犬を見たらどうするだろうか?」「叱られるだろうか?」と不安な気持ちも拭えなかったはずです。

チャイムがなり、それぞれが自分の席に着席して先生を待ちました。

そして廊下から先生の足音がし、教室のドアが開き担任の女の先生が教壇に立ちました。

先生はすぐ、仔犬の存在に気付き、誰がつれてきたのか問いただした後、叱るのではなく、意外なことを生徒達に問いかけたのでした。

「仔犬は首輪がついていないから、おそらく野良犬です。このまま役所に電話したら役所の人が迎えにきます。その後、どうなるか知ってる?」

先生は小学校二年生の子供達には、あまりにも悲しい現実を話しました。

「このまま役所の人が来たら、この仔犬は殺されちゃうのです」と・・・

教室には「えーーひどい」「かわいそう」「なんとかならないの?」と声があがったことでしょう。

先生は「うん。かわいそうだよね。助けてあげたいよね。じゃあどうすれば助けられるか皆で考えましょう」と提案しました。

そして生徒達はどうすれば仔犬が殺されずにすむのかを先生に尋ねました。

先生は「飼ってくれる人がいれば、この仔犬は野良犬じゃなくなるから殺されずにすみます。誰かこの仔犬を飼える人はいますか?」と生徒達を見渡し言いました。

そしてクラスの数人が手を挙げました。

先生は「皆が飼いたいって言っても、お父さんやお母さんが反対したら、飼えないよね。今、手を挙げた人、今から職員室に行ってお家に電話して飼ってもいいか聞いてみてください」

そう言って先生は授業中にも関わらず、手を挙げた数人の生徒をつれて職員室に向かいました。

おそらく先生も仔犬を救いたいという気持ちが生徒以上にあったのかもしれません。

手を挙げた生徒の中には、その後、仔犬の飼い主となる女の子も含まれていました。

そして、それぞれが家に電話をしましたが、ほとんどの生徒が親の承諾を得れず、仔犬の運命は女の子とそのご両親に委ねられることになりました。

女の子は家に居たお母さんに電話越しに理由を話し「お願いお母さん!このままなら子犬が殺されちゃうの!なんでも言うことを聞くから!ちゃんと私が面倒を見るから。お願い」と懇願しました。

元来、犬が好きだったこともあり、女の子のお母さんは「状況がよくわからないけど、とりあえず学校に向うから」と言ってくれたそうです。

それを聞いて、女の子はもちろん先生もクラスメイト達も大喜びしたそうです。

お母さんはすぐに学校に来てくれました。そして先生から経緯を聞かされ仔犬を受け取りました。

お母さんは仔犬の前足を見て、すぐに異常に気付き、その足で動物病院に向かったのです。

診断の結果、仔犬は生後3ヶ月くらいだということで、前の片足を骨折していました。

「おそらく他の野犬かなにかに噛まれたのでしょう」と説明を受け、すぐに治療をうけることになりました。

そして、仔犬は骨折の治療をうけ、その後、生涯を過ごす家になる女の子とお母さんと家族が暮らす自宅にお母さんに抱かれて帰ったのでした。

女の子は学校が終わると急いで家に帰りました。家に帰るまで、仔犬がちゃんと家に居るか心配でしたが、仔犬はちゃんと家で待っていてくれました。

女の子は双子の姉妹であり、その姉妹とは別に妹が二人いる四人姉妹でした。姉妹たちも新しい家族を歓迎してくれて、みんなで仔犬を撫でながら、名前を考えました。

仔犬は男の子だったのですが、ご家族はたくさんの愛がもらえるようにと「L♡VE(ラヴ)」と名付けることにしました。

その時、お母さんが「みんな。まだラヴを飼えると決まったわけじゃないのよ。お父さんがダメって言えば飼うことはできないんだからね。皆でちゃんとお父さんにお願いをするのよ」

その言葉を聞いて姉妹達は少し不安になりました。

過去にもペットを飼いたいと両親にお願いしたとき、こくごとく、お父さんの反対にあって実現しなかった過去があったからです。

夜になってお父さんが帰宅しました。姉妹たちはラヴちゃんを抱いてお父さんを迎えました。

そして、「お願いちゃんと面倒見るから」「ちゃんと勉強もがんばるから」「お母さんのお手伝いもいっぱいするから」とありとあらゆる言葉を並べてお願いしました。

しかし、お父さんは「ペットはオモチャじゃないんだぞ。生き物なんだ。飼うのには責任感がいるし、大変なことなんだぞ」と断固として首を縦にはふりませんでした。

それでも子供達は食い下がり、最終的にはお父さんも飼うことを許してくれました。

晴れてラヴちゃんはその夜から家族の一員となり、通りに面した自宅の正面の小屋で家族と一緒に暮らすことになりました。

ラヴちゃんは家族が自分の命の恩人であることを深く理解していたのか、恩返しをするかのように家族を癒し、本当に素直で優しい犬に成長しました。

そして、自分を救うために協力してくれた娘さんのクラスメイト達からも愛され、下校の時間になれば、たくさんの小学生たちがラヴちゃんに会いにきました。

どんなときでもラヴちゃんは会いにきてくれた人を優しく出迎えてくれたそうです。

そんなラヴちゃんがご近所の人からも愛されるのに時間はかからず、ご高齢の人も多く暮らすこの通りでラヴちゃんはアイドル的な存在となりました。

ラヴちゃんが、人を惹きつけるのには、理由があり、ラヴちゃんは人の心の状態がわかる犬だったそうです。

もちろんそれは、犬という生き物すべてに共通してることでもあるのですが、ラヴちゃんの場合は、その能力が抜きんでていたようで、これは私がご近所さんの人から直接聞いたのですが、「普段なら通りかかるとスクっと立ち上がって尻尾を振って出迎えてくれるんだけど、私が落ち込んでるときなんかは、大人しく座ったまま、必要以上にあまえてこないのよ。私は嫌なことがあったら、よくラヴちゃん相手に愚痴をこぼしてたんだけど、私が話し終えるまで、じっと座って静かに目をみながら聞いてくれるの。でね、話し終えたら『大丈夫だよ』と言わんばかりに頬を優しくなめてくれるの」と仰ってました。

 

そしてラヴちゃんがこの通りに来て15年の年月が流れ、ラヴちゃんは家族が見守る中、静かに永眠のときを迎えたのでした・・・

娘さんからもらった「LOVE」という名前のとおり、ご家族、ご近所さんをはじめ、たくさんの人を愛し、そして愛された一生でありました。

それを物語るようにラヴちゃんのお葬儀には大勢の人が参列され、心からラヴちゃんとのお別れを偲んでおられました。

すっかりと年頃の娘さんに成長した四人のご姉妹は涙を流して棺のラヴちゃんの体を撫でていました。お父さんとお母さんは悲しみの渦中にありながら喪主として参列に見えられたご近所の人たち一人一人に丁寧な応対されていました。

玄関の祭壇からご家族の手で出棺されたラヴちゃんは通りの真ん中にある自宅の前で火葬車に納められ、ご家族とご近所さんが見守る中、天に召されました。

ご火葬のとき、お父さんがセレモニーを担当した私のほうに歩み寄ってこられ、労いの言葉をかけて下さった後「ラヴが初めて家に来た日、娘たちにラヴを飼うことを反対したんですよ」と仰いました。

私は「はい。先ほど、奥さんから、その話を聞かせてもらったんですよ」答えると、お父さんは、少し笑いながら「そうなんですか・・・でもね、実は私を見上げるラヴの顔を見たときから心は決まってたんですよ・・・この仔犬と暮らしたいって・・・ひと目見ただけで心を撃ち抜かれました。それだけ不思議な魅力があったんですよラヴには」と遠くを見るような目で話してくださりました。

お父さんは続けるように「これでまた一人になったな」と呟くように仰ったので、「一人とはどういう意味ですか?」と私が尋ねると「いや、うちは私以外、全員女でしょ?ラヴは唯一の男だったもので」と照れ笑いのような感じで仰りました。

「ああ。なるほど。そういう意味ですか。つまりラヴちゃんは唯一の男仲間だったんですね」と言った私の言葉にお父さんは黙って頷きました。

頷いたお父さんの目には涙が滲んでおられ、その日、喪主として気丈に振舞っておられたお父さんが私だけに見せた涙でありました・・・

 

ご火葬は無事に終わり、お骨となったラヴちゃんはご家族と参列されたご近所さんの手によって丁重にお骨壷に納められました。



生後間もない頃、心無い人によって捨てられた子犬は野犬に襲われ怪我を負い、命からがら近くの小学校に逃げ込みました。

そして、そこで純粋な子供達と先生に命を救われ、心優しい家族と一緒に暮らすことになり、その町でいろいろな人と出会い大勢の人の心に鮮明で温かな記憶を残しました。

穢れなき愛に満ち溢れたラヴちゃんの15年の犬生に合掌。

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