スタッフブログ―スタッフの日々、感じたことを発信します。

ペットを襲う突然の悲しみ・・・被害者として、そして加害者として

はじめに・・・

今回はペットを飼う人にとって、他人事ではない、少しショッキングな事故のことを書かせてもらいます。

加害者側という表現は適切ではないかもしれませんが、そのような立場の人のことも考慮し、登場するペットちゃんの名前は実名ではなく仮名とさせていただき、犬種および地域は伏せさせていただくことをにしました。

また、本文の会話の中で、ペットを題材にした文章としては不適切で過激な表現がありますが、事実に沿ってそのまま掲載させてもらうことにしました。そのことをご理解の上、お読みくださいますよう宜しくお願いします。

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コロちゃん(仮名)のお葬儀とご火葬の依頼があり、指定のお時間にコロちゃん宅に向かいました。

コロちゃんの飼い主さんご家族にお悔みを申し上げた後、ベットに安置されたコロちゃんに手を合わせました。

コロちゃんは全身が艶のある黒い毛に覆われた4キロに満たない小型犬で2歳になったばかりでした。

私は、祭壇を設置し、飼い主さんにお葬儀の準備が整ったことを伝えました。

コロちゃんの飼い主さん家族はご夫婦と二人の娘さんの四人家族。ご家族の他にコロちゃんの散歩仲間の飼い主さんが6名参列されておりました。

セレモニーが始まり、ご家族は啜り泣くようにして、お焼香をされておりました。

ご家族の焼香が済み、散歩仲間の人たちも、順に焼香をされておりましたが、中にはご家族以上に声をあげて泣かれてる方もいらっしゃいました。

すべての参列者が焼香を済ませた後、最後に私もお焼香をあげさせてもらいました。

私が焼香を済ませてすぐ、飼い主さんご家族のご主人さんが「もう一人、来ますので、出棺まで、少し待っていただけますか?」とご要望があり私は「はい。お時間は充分にとっておりますので大丈夫です」と答えました。

その会話を交わしたとき、部屋が異様な雰囲気に包まれたので、私は恐縮しながら「あの、もう一人とはご家族か誰かでしょうか?」と尋ねたところ、ご主人さんは、少し間を置いてから、小さな声で「・・・加害者の方です」とつぶやくように仰いました。

私は予想外の返答に「え?加害者とは?」と思わず率直な疑問を口に出してしまい、ご主人は視線を落としながら、声を震わせ「コロは今朝、散歩の最中に噛み殺されたんです」とショッキングな事実を私に伝えたのでした・・・

 

ご主人さんが、そう言ったとき、玄関前で待機していたスタッフのF君が「あの。もう御一人、参列に見えられました」と報告がありました。

当然ながら状況を理解していないF君は遅れてきた50代男性の参列者に中に入るよう促したのですが、その方は「コロちゃんの飼い主さんを呼んでくださいませんか」とF君に頼んだようでありました。

そして、ご主人さんは神妙な面持ちで、玄関に向われました。

事態を把握しきれていない私はご主人が席を立たれた部屋で、散歩仲間の人たちに「つまりコロちゃんは今朝、別の飼い犬に襲撃されて命を落とされたということですか?」尋ねました。

参列者のお一人が涙を流しながら「そうです。目の前でいきなり大型犬に襲われて」と、そこまで言って泣き崩れ、部屋はいっそう悲しみに染まりました。

そしてコロちゃんの飼い主さん家族の奥さんが「おそらく、今、表に来た人がその噛んだ犬の飼い主さんです」と静かに、そしてしっかりとした口調で仰いました。

弊社もこれまでに数え切れないほどのペットセレモニーの担当を請け負って参りましたが、不慮の事故に巻き込まれて命を落としたペットの葬儀に、その加害者側にあたる当事者が参列された実例は過去になく、想定外の成り行きに、私は困惑し、葬儀を取り仕切る側の自分の立場を忘れてしまいそうになるくらい、落ち着かない状態に陥りました。

それは私だけではなく、コロちゃんの飼い主さん家族や散歩仲間の人たちも同じで、部屋は例えようのない独特の張り詰めた空気に包またのでした。

そして玄関のドアが開き、ご主人の後から、襲撃した犬の飼い主さんのAさんが部屋に入ってこられました。

Aさんは祭壇のコロちゃんに一礼をされた後、コロちゃんの家族に深く頭を下げ「このような事態を招き申し訳ありません。本来ならコロちゃんを死に至らしめた当事者である犬と一緒にお詫びにくるのが筋道かとも思ったのですが、遺族の皆様の気持ちを配慮して飼い主である私が代表して来させていただきました。今回のことはコロちゃんには何の落度もありません。私共に全ての責任があると思っております。言い訳も弁解もありません。謝って許してもらえることでないのもわかっております。ただ、お詫びと謝罪の気持ちをお伝えしたくて、そしてお線香をあげさせてもらいたくて参りました」と静かな口調で話されました。

Aさんが話し始めてすぐ、事故の悪夢が脳裏に甦ったのか、散歩仲間の人たちは堪えきれず、声をあげて、泣き崩れておられました。

コロちゃんの飼い主さん家族はあえて、Aさんから視線を外しし、手を強く握りしめながら悲しみに耐えているようでした。

そしてご主人さんが、「あそこで(事故があった公園)でコロのことを知らない人がいないくらいコロは有名な犬だったんです。ここに来てくださった皆様(散歩仲間の人達)を見ても、いかにコロが愛されてたかわかりますよね?本当にあそこは平和で犬の種類や大きさに関係なく、どの子も仲良しで私たち飼い主も安心して犬を放せる場所だったんですよ。それはコロたち犬にとっても同じで、何の疑いもなく、今日も楽しく散歩をしてただけなのに・・・いきなり襲われて・・・何がなんだかわからないうちに・・・コロは毛が黒いから目立たなかったかもしれませんが、体内の血液が全部出たんじゃないかと思うくらい、血まみれになって・・・」とそこまで、話して言葉に詰まられました。

ご主人さんはAさんが来られてからも、取り乱されることもなく、終始、穏やかで、紳士的にお話をされておりました。

奥さんは「襲われてすぐ、病院に連れていきました。検死の結果、コロは最初の一撃で死んだんですよ。噛みついた犬歯はコロの胸を貫通し、傷は肺にまで到達してました。その一撃で即死でした。それなのに、その後も、数分間噛みつかれたままで・・・」奥さんは、Aさんの目をみながら生々しい惨劇の状況を涙ながらに訴えておられました。

Aさんは「本当に申し訳ありません」と頭を下げられましたが、奥さんは「犬がやったことは責めようがないのはわかっています。ただ私は噛み癖がある犬のリードを放したあなたが許せないのです。それは飼い主としてあまりにも無責任な行動ではありませんか?この悲劇を二度と起こさないためにもあなたにお願いいたします。危害をくわえるおそれがある犬のリードを離さないでください」と、ひときわ語尾を強めて仰いました。

Aさんは「はい。私も甘い認識でありましたが、ちゃんと訓練を受けた犬でありまして、あんなことは今まで・・・いえ、何を言っても言い訳です。本当に申し訳ありません」と弁解の言葉を中断し、謝罪の言葉を申されました。

コロちゃんを襲ったAさんの犬は主に警察犬や軍用犬にも採用される外国産の大型犬腫であり、事実、その犬も数年間、然るべき訓練を受けた犬でありました。

奥さんは隣で泣きながら座っていた、娘さんの肩に手をかけ「謝るならこの子に謝ってやってください。コロはこの子の犬だったんです」と言い、大粒の涙を流されました。

Aさんは娘さんの方を向きなおし、「ごめんね。僕のこと許せないかもしれないけど、本当にごめんね」と深く頭を下げ、謝罪の言葉を申されました。

娘さんはの耳にもAさん言葉は届いたはずですが、娘さんは無言のまま、正座した姿勢を崩さず、俯き加減の状態で黙っていました。

そして力なく落とした顔の頬には涙が流れていました。

コロちゃんの飼い主さん家族は当然のこと、部屋に居た全ての人が犬を飼っておられ、そして心底、犬という動物を愛している方ばかりであり、それはAさんとて同じでありました。

それがわかるがゆえ、誰もが怒りの矛先を何処に向けていいのかわからず、ただ、やりきれない悲しみに沈むしか心のやり場がないような状態で、再び部屋は重い沈黙に包まれました。

沈黙を破るようにご主人さんが「いずれにせよ、お気持ちは受け取りました。ただ、だからといって、あなたとあなたの犬への怒りの気持ちがなくなったわけではありません。時間がたてば、変わるかもしれないし、このまま変わらないかもしれません。ですが、同じ犬を愛する人間ということは伝わりました。だからこそコロと私たちの悲しみと無念を踏まえた上で、線香をあげてやってください」と仰りました。

その言葉を聞いてAさんは無言で頭を下げ、祭壇に向かって合掌をしたのち、焼香をあげ、祭壇の上のコロちゃんの体に触れながら「ごめんねコロちゃん。許してね。コロちゃんは何も悪くないのにこんなことになってごめんね」と冷たくなってしまったコロちゃんに抱きかかるようにして語りかけていました。

その後、ご家族と散歩仲間の方達がコロちゃんとの最後のお別れをされる時間になり私とAさんは退席しました。

出棺に備え、私は玄関先で待機していたのですが、少し離れたところでAさんも待っておられました。

私はAさんに歩み寄り、自己紹介をしたあと、「私が言うことではありませんが、奥さんが言われたとおり、制御の利かないペットのリードを離した責任はAさんにあると思います。しかし、私はAさんが被害を与えた側の飼い主さんとして、葬儀の席で謝罪されたことは、なかなか出来ることではありませんし、誠意ある行動だと思いました」と本心を伝えました。

Aさんは私の言葉を聞いて口を真一文字に閉じたまま、ぐっと奥歯を噛みしめ「ありがとうございます。私はコロちゃんを噛んだ犬以外にも、全部で5匹飼っております。そのうち三匹はコロちゃんと同じ小型犬なんですよ。私は犬を家族と同じと思ってますし、ほんとうに犬が大好きなんです。だから、ウソに聞こえるかもしれませんが、ご家族の悲しみや怒りは理解できるんです。許してもらえるなんて思っていません。ただ犬を愛する人間として、心から謝罪したかったんです」と手を震わせて言っておられました。

そして出棺の時間を迎え、コロちゃんは自宅の通りを抜けた、事故現場でもある公園の前に停めた火葬車に納められました。

ご家族と散歩仲間、私とF君。そしてAさんも火葬炉の中のコロちゃんに顕花を捧げ、合掌をもってお見送りしました。

ご家族を代表して、ご主人さんの手により火葬炉の電源のスイッチが押され、コロちゃんは2年の短い一生を終えると同時に、たくさんの人に見送られ天に召されたのでした・・・

 

今回のことは本当に考えさせられる出来事でありました。

もちろん最大の被害者は、突然にて命を奪われたコロちゃんでありそのご家族であります。

その渦中にあるにも関わらず、コロちゃんの家族の紳士かつ冷静な対応に、私は心から感服するとともに、自分には到底、真似のできないことだとも思いました。

そして、Aさんからも犬を愛する心は感じましたし、それゆえの後悔と無念と謝罪の気持ちも私には伝わりました。

しかし、娘さんたちをはじめ、ご主人さんと奥さんのご家族全員が悲しみから解放されるには、もう少し時間がかかるだろうし、すべて払拭できる日は来ないかもしれません。

ペットと共に暮らしていく以上、被害者側と加害者側。いつ、どちらの立場にならないうという保障は誰にもありません。

そして、そのことを誰より理解していたのはコロちゃんのご家族であり、参列されていた全ての皆様だったのかもしれません。

だからこそ、コロちゃんのセレモニーは悲しみの中であっても温かさを感じれる式になったのかもしれないと私は思いました。

無事にコロちゃんのお骨をご家族に返した私とF君は、なんともやりきれない気持ちのまま、事故現場の公園に合掌を捧げ、公園の脇に持参したお花を手向け、次のセレモニー場所に向かいました。

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