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「その理由(わけ)」 涙を見せない人 最終回

その後、鳩の火葬は無事に終了し、Yさんは自らの手で収骨されたのであります。

私は背筋を伸ばして、丁寧にお骨上げをされたYさんの横顔を見つめながら(もし、自分が同じように怪我をした鳩を見つけたら、はたして、Yさんと同じような行動を取っただろうか・・・)と、そんなことを考えながら自問自答をしていました。

 

正直に言います。

私なら、そのまま通り過ぎていたと思います。

 

これは、自己弁護ではありませんが、おそらく、大多数の人が私と同じ意見だと思います。

いくら動物が好きであっても、たまたま怪我をしている鳩を見かけたとき、動物病院に連れて行き、その後、亡くなってしまい、今度は葬儀会社で火葬をしてあげて、その骨を自ら拾ってあげる。

 

それを出来る人は数えるほどいないような気がするのです。

 

 

お骨上げを済まされたYさんは小さなお骨壺に納められた鳩の遺骨を見つめながら「ここなら安心して任せられそうなので」と、その日のうちに納骨されることにされたので、私はYさんを会館二階の納骨堂に案内することにしました。

 

Yさんは納骨をされた後、静かに目を閉じて合掌をされたのですが、合掌をといた、Yさんのその眼差しは静かながら、強い志のようなものを感じた私は、その時も、なぜ、Yさんは涙を見せないのかを考えていたのです。

 

ペットのセレモニーのために来られた飼い主さんに年齢を聞くことは失礼であると、言いましたが、同じように個人的な質問も、容易にするものではありません。

 

(泣かないのには何か理由があるのですか?親にそう躾けられたのですか?)

そんなことを聞けるはずもなく、私は納骨を終えられ、清算を済まされたYさんに、ありきたりな「Yさんは動物が好きなんですね」という言葉をなげかけました。

Yさんは笑顔で「はい」と、うなずかれたので、私は「やはり鳥が好きなんですか?」と訊ねたところ「まあ鳥も好きですけど、特別、鳥が好きってことはありません。やっぱり好きなのは犬ですね。それも大型犬が好きなんです私^^」とYさんは、この日一番の笑顔になって言われたのです。

 

「そうなんですか。じゃあ犬を飼ってらっしゃるんですか?」と私は訊ね、Yさんは大きくうなずいた後「はい。でも小型犬なんです。本当は大きい犬を飼いたいんですけど、家がそんなに広くないんで、小型犬を飼ってるんです」と、少し照れたような顔をされて言われました。

 

会館前でYさんを見送ることにした私は、自転車のカギをあけたYさんに「帰り道わかります?迷っちゃだめですよ」とジョークを交え言いました。

Yさんは「もう覚えました^^大丈夫です」と笑顔で返してくれたので、私は(これくらい聞いてもいいかな)と、思いながら「ねえYさん。Yさん専門学生って言ってはりましたが、何の専門学校なんですか?」と訊ねたのです。

 

Yさんは私の顔にしっかり向きながら「動物の看護師です」と、セレモニーの最中、私が感じていた志を秘めた目をしてそう言われたのです。

「動物も看護師・・・つまりペット病院の看護師さんの卵ですか?」と私は聞きながら頬に鳥肌が立つような感覚を覚えたのです。

 

「じゃあ、将来はペット病院で働くんですか?」と、さらに訊ねた私にYさんは「はい。それが夢だったんで。来年の春、卒業予定なんで、卒業したらペット病院で働こうと思っています」

Yさんのその言葉に、頬に感じた鳥肌が全身に広がるくらい感動した私はYさん歩み寄り「素晴らしい。Yさんのような人がペット病院で働くってことは、本当に良いことだと思います」と、思わずYさんの右手を両手で握りしめてしまったのです。

 

女性の中でも比較的小柄Yなさんは、慎重180cmをこえる私にいきなり右手を握られ、少し戸惑ったように「はい・・・ありがとうございます」と、委縮されたようにお返事をされたので、私は「すいません。感動のあまりつい」と弁解しながら手を離しました。

「私なんか全然大したことありませんよ」と恐縮して言ったYさんに「いえそんなことはありません。僅かな時間であってもセレモニーという時間はある種、特別の時間なんで、その人のことが、よくわかるんです。Yさんは本当に優しい心の持ち主だと僕は感じました。」と私は本心をお伝えしたのです。

 

「ありがとうございます」と頭を下げるYさんに私は「また勤務先が決まったら教えてくださいね」と 言ったところ「はい。決まったらお知らせします」と力強く返事をして、Yさんは帰って行かれました。

 

自転車で帰るYさんの後ろ姿を見送りながら私は友人でもある、ある獣医師さんの言葉を思い出していました。

その言葉とは「動物医療の現場で働くなら動物が好きでないとやっていけない。でも、動物が好きなだけでも務まらない」というものであります。

 

ペットに限らず、医療の現場では、どんなに悲しくても患者さんや、その家族の前で涙を流すことは許されません。

なぜなら、一番つらいのは患者さん本人であり、その家族の方達であるからであります。

 

Yさんが頑なに涙を見せなかったのは、早くも看護師として、その自覚が芽生えてきたからなのかは、定かではありませんが、少なくとも私にはそう感じました。

 

Yさんは来年の春には地元大阪のペット病院で看護師として働く予定であります。

きっとYさんなら素晴らしい看護師さんになると私は思ったのです。

 

Yさんを見送った後、私はそのことを強く感じながら、もう一度、納骨堂に上がり、鳩のお骨壺に手をあわせました。

 

 

プレシャスコーポレーション

野村圭一



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大阪本社 大阪府守口市菊水通3丁目7-9

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